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ミポリンと小倉さん「対極の死去」に共通する思い "突然の死"と"余命のある死"に考えさせられること

東洋経済オンライン / 2024年12月13日 16時15分

織田信長が好んだという幸若舞「敦盛」の一節に「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如く也」(人の世の 50年間は天界の時間と比べると夢幻のように儚いもの)があります。

その解釈はいくつかあるものの、“50年”を人間の寿命に置き換えて考える人が少なくありません。たとえば、まず50年間を後悔なく生き、それ以降は1日1日を充実させていく。そんなポジティブな意味でこの言葉を意識してもいいのではないでしょうか。

小倉さんは2016年に膀胱がんを患って以来、約8年間にわたる闘病生活を送りました。仕事を続けながら2018年に膀胱の摘出手術を受けたものの、2021年には肺への転移が発覚。2023年には腎盂がんが見つかり左腎臓の摘出手術を受けるなど治療を続けていましたが、先月に入って骨盤、腰椎および髄膜に転移がみられ、今月に急変して自宅で息を引き取りました。

小倉さんはハードな朝の生放送帯番組を22年も務めたこともあって、「エネルギッシュ」「バイタリティ」というイメージがありましたが、『とくダネ!』終了後も先月まで仕事を続けたことから「生涯現役を貫いた」と言っていいのではないでしょうか。

どちらつかずのあいまいなコメントに終始する司会者が多い中、小倉さんは自分が正しいと思ったことや疑問視したことを率直に語る姿で視聴者の信頼を集めました。ときに厳しい口調で迫ったり、弱者に寄り添おうとしたり、ユーモアでなごませたり。年齢性別を超えて出演者や視聴者に向き合おうとする姿勢も含め、人間味あふれる生前の姿が目に浮かびます。

Xで注目を集めた小倉さんの言葉

小倉さんは少年時代に吃音で悩み、フリー転身後は仕事がなく極貧状態だったなどの過去があるためか、レギュラー番組を休まず、オリンピックなどのビッグイベントは現地取材し、バラエティへのゲスト出演にも積極的。

さらに、ゴルフ、読書、オーディオ、機械式時計、カメラ、クレー射撃など、芸能界屈指の多趣味でも知られていました。多忙な中、音楽ライブや映画観賞などにも足を運ぶなど、まさに「よく働き、よく遊ぶ」を体現する人とみられていたのです。

しかし、訃報を受けた現在、Xで注目を集めているのが、小倉さんが3月に日本経済新聞に提供したコラム。「『老後にやろう』はダメ」と題して、加齢や病気の影響で音楽などの趣味や旅行・食事が楽しめなくなったことを明かしていました。

「若いうちにやれることがあったらやったほうがいい」「老後になるとできないことがあまりにも多すぎる」という実感のこもった言葉が幅広い世代からの共感を集めているのです。

命と時間の有限性を意識できるか

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