世界的音楽家・辻井伸行「思い出の大作」への情熱 名門レーベル「ドイツ・グラモフォン」と専属契約
東洋経済オンライン / 2024年12月15日 8時0分
――素朴な疑問ですが、初見の楽譜はどうやって読んでいるのでしょう。
普通の人は全部楽譜が読めますが、僕の場合は譜面を読んでもらっている先生に、楽譜に書いてあることを片手ずつに分けて録音してもらって、それを再現する。表現に関する作曲家の指示など、楽譜に書いてあることも全部説明してもらっています。
ピアノが嫌になったことは一度もない
――国内外のいくつもコンサートが重なる中での録音でした。1日何時間くらいピアノに向き合うのですか。
コンサート旅行の移動中は弾けないのですが、予定がなくて家にいる日は朝から晩まで練習していることが多いですね。最近ではツアー中も合間で時間があったらスタジオを借りて練習していることが多いですね。
僕はピアノを弾くことが好きなんです。人前で弾くことが好きだし、目標があると頑張るタイプ。コンサートも自分にとって大きな楽しみの一つだし、新しい曲に挑戦することも大好きです。何かに挑戦するときに燃えるタイプなんです。だから練習が苦になったり、ピアノを弾くのが嫌だなと思ったりしたことは、どんなに大変なときでも一度もないんですよ。
――息抜きには何をしていますか?
いまは忙しいので趣味の釣りにはあまり行けてないですけど、初めての土地に行ったら散歩をしてみたり、美味しいものを食べたり。食べることは好きなので。まとまった時間があるときはやはり釣りや陶芸、山登りに行ったりもしています。
20代の頃は勢いで弾いてしまうタイプだった
――憧れ、目標とする音楽家はいますか。
尊敬しているピアニストはたくさんいるけれど、アルゲリッチさんやウラディーミル・アシュケナージさん(編集部注:ピアニスト・指揮者。2020年に引退を表明)はとくに尊敬しています。
指揮者としてのアシュケナージさんとは何度も共演させていただいた経験がありますが、彼はツアーで指揮者として出演しているにもかかわらず、本番前後でも毎日ピアノの練習を欠かさないのです。
トップクラスのピアニストでもこうやって努力して練習していることを目の当たりにして、自分がさらに上を目指すきっかけを彼からいただきました。引退されたのは残念です。
――辻井さん自身は、自分のピアノの個性をどう捉えていますか?
自分ではあまり意識したことはないのですが、昔と今は演奏も変わってきていると思います。20代の頃は勢いで弾いてしまうタイプでした。それはそれでエネルギッシュで良かったのですが、「若さで弾いてるな」という部分もありました。今は少し音色の幅、種類も増えてきて、表現にも深みが出てきたのではないかなと思っています。
自分自身で音が変わったきっかけはコロナでした。コロナ禍でコンサートがなくなって、ゆっくり音楽と向き合うことができた。つらい思いもしましたが、多くの制限がある中で何ができるかを考えました。
新たにレパートリーを増やし、いろんな表現ができるように練習し、演奏自体も変わっていけるように、今までできなかったことにじっくり取り組めました。そこから自分の演奏が変わってきたのではないかなと思います。
(後編:辻井伸行「歴史に残るような音楽家になりたい」 に続く)
森 創一郎:東洋経済 記者
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