韓国・弾劾審査期間中の政治体制はどうなるのか 180日以内に憲法裁判所が判断するまで首相が代行
東洋経済オンライン / 2024年12月15日 20時0分
2024年12月15日、国会の弾劾訴追案可決を受けて大統領の権限代行者となった韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理=首相が、アメリカのバイデン大統領と電話会談を行っている(写真・韓国国務総理室/ソウル新聞)
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が2024年12月14日、国会で可決され、尹大統領の権限はすべて停止された。
尹大統領は今後、憲法裁判所の弾劾審判の結果が出るまで、国家元首、行政府首班、軍統帥権者としての権限を一切遂行することができない。
尹大統領は今後数カ月間、ソウル市内にある官邸で生活し、弾劾審判と内乱罪の捜査に対応するための準備をすることになりそうだ。
12月3日、「救国の意志」として宣言した「非常戒厳」(戒厳令)で尹大統領は大統領職を維持できるかどうかはもちろん、内乱の首謀者として歴史に残されるという危機にさえ直面している。
権限は停止されるが待遇はほぼ同じ
尹大統領は今後、憲法に規定されたすべての大統領の権限を行使することができない。大韓民国憲法66条は「大統領は国家元首であり、外国に対して国家を代表する」と明記し、73条と74条は「大統領は条約を締結・批准し、外交使節を信任・受諾または派遣し、宣戦布告と講話を行う」「国軍を統帥する」となっている。
つまり軍統帥権や条約締結批准権、赦免・減刑・復権権、法律案の再議要求権(拒否権)、公務員任免権などを尹大統領はすべて行使できなくなった。
国務会議及び大統領室首席秘書官会議を開くなど日常的に行ってきた国政運営権限もすべて停止された。もちろん、憲法裁の弾劾審判結果が棄却されれば、すべての権限は回復する。
ただし職務停止期間中は、大統領という身分まで剥奪されるわけではない。これにより、「尹錫悦大統領」という称号はそのままで、官邸でも生活できる。大統領室と警護処の警護、儀式も維持される。
官用車や専用機も法的に利用できる。しかし、出国禁止処分を受けた状況なので、専用機を利用する可能性は低い。給料はそのまま受け取れるが、業務推進費的な性格を持つ給与は受け取れない。
尹大統領は弾劾審判の結果が出るまで、官邸で生活することになる。大統領府への出勤はできない。それでも、記者団との懇談会などを通じて自分の立場を明らかにする可能性も排除できない。
戒厳令が「憲法上の義務をどれだけ破ったか」が焦点
朴槿恵(パク・クネ)元大統領は、職務停止期間だった2017年1月1日、大統領府で記者団との懇談会を開き、自ら各種疑惑について反論した。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領も、憲法裁判所の決定を控えた2004年4月11日、記者団と山歩きなどを行っていた。政治的な発言は控え、「春来不似春」(春が来たのに春らしくない、春が来たのに喜べない)という言葉を残した。
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