廃棄に待った!ホテルの食品ロス減"確かな一手" 宴会シーズン 客側も「食べ残し」しない意識を
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 8時30分
中村氏はそこで世界の飢餓問題、食糧問題を目の当たりにし、フードロスについての問題意識を高めていった。一方、自分だけが食品ロスへの問題意識を高めても仕方ないと考え、ホテルのスタッフも含め、みんなで意識を高めていこうと松田氏に相談した。
それをきっかけに2018年、会社として食品ロス削減に取り組む方針を決定し、社内に「食品ロス削減プロジェクト」が発足。勉強会や検討会を開いて食材の調達から食品提供まで一連のプロセスを点検し、食品ロスはどこで発生しているのか確認していった。
その結果、回を重ねるにつれ、スタッフは食品ロスを我がことのように考えるようになる。そして、部署ごとに改善できることを実践していくようになった。
その取り組みについて以下に紹介する。
「もったいないメニュー」を開発
まず、食品ロス削減の勉強会で調理担当者が提案したのが「もったいないメニュー」だ。
これは、和洋それぞれのシェフが食材を余すことなく活用し、工夫を凝らして作り上げた、エドモントならではのオリジナルメニュー。例えば普段なら廃棄する魚のあらをフランス料理に欠かせない出汁やスープにしたり、野菜の皮や葉を味わい深い和食や、彩り豊かなオードブルにしたりする。
エドモントでは、主催者の賛同を得たうえで、「もったいないメニュー」を実際にパーティ料理として提供しているという。そのことで食品ロス削減はもちろん、お客様が食品ロスについて考えるきっかけづくりにも貢献している。
筆者が訪問したときには、パンの余りを活用した「ラスク」を試食させていただいた。
総料理長・岩崎均氏の説明によれば、宴会でパンを提供するときには「おかわり」と言われてから焼くわけにはいかず、その量もわからないので、あらかじめ人数に比例した個数を用意しておき、求められればすぐに出す形をとっている。
しかし、どうしてもパンが残ってしまう。昔は残ったパンをパン粉にして利用していたが、残ったパンをカットしてストックしておき、それを乾燥させてチョコレートやメープル味のラスクにして販売するようになったという。
従来は、多めに作らなければサービスとして提供できない食べ放題メニューでも、余った食材は大量に廃棄するしかなかった。しかし、残った食材を加工し、新たな商品として販売することで、フードロスの削減に大きく貢献している。
「3010運動」の展開
3010(さんまる・いちまる)運動は、宴会時の食べ残しを減らすために、乾杯後30分間と宴会の終了前10分は料理を楽しむよう呼び掛けて、食品ロスを減らしていく運動である。
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