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廃棄に待った!ホテルの食品ロス減"確かな一手" 宴会シーズン 客側も「食べ残し」しない意識を

東洋経済オンライン / 2024年12月16日 8時30分

2011年に長野県松本市から始まったこの運動を、2018年より日本ホテルおよびグループホテルのJR東日本ホテルズ全体の取り組みとして展開するようにした。

下図のように「事前打ち合わせ」→「開催当日」→「イベント開催中」→「終了後」を「食品ロス削減サイクル」の各段階で取り組み、宴会料理の完食率向上を目指すようにしている。

取り組みの開始後、コロナ禍の影響もあったため経年比較が難しいが、2018年と2019年の一定期間を比較すると、エドモント全体で16%の生ごみが削減され、宴会終了後の生ごみでは14%が削減されている。

「食品ロス削減サイクル」各段階におけるスタッフの、現場での細やかな工夫、配慮、声掛けが食品ロス削減に大きく貢献しているのだ。

またホテル内のレストランや宴会で食べきれなかった料理を、客の自己責任で持ち帰ってもらい、食品ロスを削減する取り組みに「mottECO(モッテコ)」がある。mottECOには「もっとエコ」と「持って帰ろう」という意味があり、国が推奨する取り組みだ。

外食大手のデニーズとロイヤルホストが2021年から連携してスタート。2022年には和食さとと日本ホテルが加わり4社連携のコンソーシアムとなった。2024年度からは産官民21団体が連携する「mottECO普及コンソーシアム」となって食品ロス削減を推進している。

もちろん、安全衛生上、すべての食材が持ち帰れるわけではない。日本ホテルでは「中心温度が75度以上で加熱したもの」という社内基準を設定し、パン、フライドチキン、ピラフ等が対象となる。生もの、傷みやすい料理は持ち帰れない。

まずはレストランや宴会場でおいしく残さず食べきってもらう。そのうえで食べきれなければ、希望者に環境に配慮した認証紙製の容器と持ち帰り時の注意点を配付している。

食品ロス削減に向けたmottECOの更なる推進

地球上には十分な食料を食べられず、栄養不足に苦しむ人々が数多くいる。そのような地域に、余った食料を輸送できればよいのだが、手段やコストを考えるとその実現性は低い。

よって私たちにできるのは、食品ロスを出さぬよう日々の生活を送ることであろう。mottECOのような食べ残しを持ち帰る取り組みが今後もいっそう推進されるべきである。

mottECOの取り組みルールでは十分に加熱した料理のみを持ち帰れるようにしているので、日本ホテルの実績においてクレームや事故はこれまでは1件も発生していないという。

しかし、客側の責任で持ち帰るとはいえ、万が一事故が発生した際には事業者側に一切責任が発生しないとまでは言い切れない状況にある。よってmottECOが多くのホテルで採用されるには至っていない。

食べ残しの持ち帰りに関する飲食店側の責任の範囲を明確にするためにも、早急に国によるガイドラインの作成が期待される。また、mottECOの取り組みが広く認知され、余ったものは持ち帰るといった文化が私たちの間に育まれていくのを期待したい。

藤井 誠一郎:立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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