トヨタとホンダ、安全運転領域で初コラボの意味 クルマやバイクなどの混合交通を意識した内容
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 11時0分
①:交差点を右折待ちしている四輪車の運転席から検証。二輪車との右直事故が誘発されやすいシーンを再現し、事故抑制策を検討。
②:①と同じ状況を二輪車のライダー視点から検証。右折してくる四輪車の挙動理解を深め、予測運転の立て方を学ぶ。
③:交差点を直進する二輪車と四輪車の近づき方をドライバー目線で比較して距離感覚をつかみ、二輪車にブレーキ操作をさせない、安全に曲がれるタイミングを探る。
実際に起こり得る状況を体験する
①では、たとえば対向する四輪車が自車に右折進路を譲ってくれた際に発生しやすい、いわゆる「サンキュー事故」を状況設定とした。停止してくれた車両の左側(=死角部分)から二輪車が出てくることを想定。ここでは、あわてずにジワジワと進み、右折をゆっくり行うことで二輪車の発見が早まることを確認した。
②では、①の状況でライダーはどんな状況におかれているのか心理状況を含めて確認した。見通しの悪い状況では早めのブレーキ操作で減速しながら交差点に進入する。またその先も、死角から右折する四輪車がくるかもしれないという予測運転を行いながら、万が一、四輪車が確認できた際に強い減速ができるようニーグリップを中心とした正しいライディング姿勢を保つことが大切であることを学んだ。
③は特別メニューのハイライトだ。交差点を直進してくる二輪車との距離感覚をつかむため、事前に交差点を直進してくる四輪車との見え方の違いについて車速を伏せた状態で体感した。二輪車と四輪車は同じ30km/hで交差点に進入したが、結果、参加者全員が二輪車の速度が遅いと誤認した。
また、四輪車と比較して二輪車は面積が小さいため、四輪車よりも遠くにいると誤認されることが多いとインストラクターから告げられる。事実、今回の講習でも安全に自車が曲がれるタイミングを二輪車と四輪車で比較した場合、参加者の多くが四輪車に対して1秒程度、遅い傾向、つまり二輪車が遠くにいるという誤った距離感覚であることがわかった。
夜間や荒天時は視界の悪化から二輪車の発見がさらに遅れることから、二輪車や自転車、電動キックボードなど小さい乗り物に対する意識を日頃から高めることが重要だ。参加者はこれらの体験を通じて、安全に右折開始ができるタイミングを改めて再確認した。
今後の安全運転領域でのコラボに期待
筆者は一般財団法人・全日本交通安全協会・二輪車安全運転推進委員会の指導員として30年間、四輪車では安全運転インストラクターとして22年間、それぞれ活動しているが、交通事故の抑制にはライダー/ドライバーの相互理解が求められているのだと痛感した。トヨタとホンダではこうしたコラボレーション活動を継続し、将来的には規模を拡大しつつ、開催国も増やしていきたいという。
西村 直人:交通コメンテーター
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