サントリー次期社長の「プリンス」に託された課題 鳥井氏を「ノブ」と呼ぶ新浪氏と二人三脚で挑む
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 7時50分
逆に新浪氏が物議を醸す発言で世間を騒がせたときには、鳥井氏が苦言を呈しながらも励ますような関係性を築いてきた。
新浪時代は海外事業拡大の10年
鳥井氏を育て上げた新浪氏が、コンビニ大手・ローソンの会長を経てサントリーHDの社長に就任したのは、2014年10月。創業家以外の人物が社長になるのは初めてのことだった。招聘したのは前HD社長、現会長の佐治氏で、新浪氏へ海外の一大プロジェクトを託した。
同年5月、サントリーはアメリカの蒸留酒大手ビーム(現サントリーグローバルスピリッツ)社を1.6兆円で買収。ウイスキー「ジムビーム」や「メーカーズマーク」などの強力なブランドを獲得した。買収の5カ月後に社長となった新浪氏は統合作業に全力をあげて取り組んだ。
就任当時は現地社員と角突き合わせることもあったが、外部で培った持ち前のスピード感で、国内外の人材交流を活発にするなど社内改革を進めた。
結果、海外事業は飛躍的に成長した。サントリーHDの売上収益に占める海外比率は、新浪氏就任前の2013年12月期が約25%。ビーム社の買収効果が上乗せされた2014年12月期は約36%だった。それに対し、会計基準の違いはあるが、直近の2023年12月期には約50%にまで上昇した。
新浪氏は大型買収と統合を乗り越えて、強い組織を作ったと自負する。一方で、社長としてやり残したことは海外事業に多いという。
サントリーが目指すRTD(Ready to Drinkの略語。缶チューハイやハイボール缶など、開けてすぐに飲める飲料)での「売り上げ世界1」や、人口増が続くインドでの十分な事業拡大などは、社長在任中に達成しきれなかった。今後は会長の立場で海外事業のさらなる拡大を牽引していく。
「日本で絶対に1番になる」
新浪氏が新社長の鳥井氏に託す課題は、国内酒類事業の成長だ。
サントリーはウイスキーなどの蒸留酒で国内シェア首位、世界でも5位の強さを見せる。しかし酒類全体では国内3位(販売数量ベース、イギリスの調査会社ユーロモニター調べ)にとどまる。
一方、世界で確固たる地位を築いている酒類メーカーはどれもが自国で圧倒的な強さを誇る。サントリーはイメージ通りのグローバル企業になりきれていないのが現状だ。
「サントリーが目指すのは真のグローバルカンパニー。総合食品・酒類メーカーとして、日本で圧倒的に、絶対に1番になる」。新浪氏の国内にかける想いは強い。
この記事に関連するニュース
-
サントリーHD 新社長に鳥井氏 日本初の“真”の世界的企業目指す 酒類は脱・日米依存、飲料は世界同一品
食品新聞 / 2024年12月13日 16時30分
-
サントリーHD社長に鳥井信宏氏 10年ぶり創業家出身
共同通信 / 2024年12月12日 20時11分
-
サントリー、10年ぶり“創業家”社長 「大政奉還では?」の問いに「そんな甘いものではない」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月12日 19時40分
-
サントリーHD、鳥井信宏氏が社長昇格 10年ぶり創業家
ロイター / 2024年12月12日 16時16分
-
サントリーホールディングス 創業家出身の鳥井信宏副社長を昇格へ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月12日 14時2分
ランキング
-
1「オタク婚活」VISA決済停止へ 相次ぐクレカ規制に「オタク排除」疑う声も...
J-CASTニュース / 2024年12月16日 14時20分
-
2新幹線の隣席が空いたので、離れて座っていた友人を呼んだら「これって非常識にならない?」と言われました。新幹線のルールとしてはアウトなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月15日 23時30分
-
3部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月16日 8時5分
-
4「年末年始も休まず営業します」は時代遅れ…「365日働く日本人」から撤退した"先進的企業"の英断
プレジデントオンライン / 2024年12月16日 9時15分
-
5「住宅ローン金利」どこが安い?銀行別ランキング 金利が上昇しても、"変動一択"と言えるワケ
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 7時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください