サントリー次期社長の「プリンス」に託された課題 鳥井氏を「ノブ」と呼ぶ新浪氏と二人三脚で挑む
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 7時50分
鳥井氏の新社長としての試金石となるのはビール事業だ。国内はビールの消費者が多い。日本1の酒類メーカーを目指すなら、この事業の成長は欠かせない。
サントリーとして格別の思い入れもある。「60年以上前に国内大手で最後発のメーカーとしてビールに挑み、苦しい中でがんばってきた。ビール事業はサントリーの魂だ」(鳥井氏)。
国内ビール事業が初めて黒字になったのは、参入から約45年経った2008年。プレモルのヒットが貢献した。
だが、現在のサントリーは、ビールと発泡酒の「ビール類」で国内シェア3位に甘んじている。
2023年にアサヒビールが「スーパードライ」のみで7131万ケースを販売したのに対し、サントリーはノンアルコールビールを含むすべてのビール系飲料ブランドを合計しても6840万ケースだった。ビール王者のアサヒの背中は遠い。
シェア拡大のためには、プレモルより価格が低く、市場で圧倒的に販売量が多いスタンダード(標準価格帯の)ビールの領域で強いブランドを持つ必要がある。
競合のアサヒはスーパードライ、キリンビールは「一番搾り」、サッポロビールは「黒ラベル」といった歴史ある看板ブランドを持っている。サントリーには長年それが欠けている。
勝負の場はスタンダードビール
目下、サントリーが拡販を急ぐのは、昨年4月に発売したスタンダードビール「サントリー生ビール」だ。
2024年は600万ケース、早期の1000万ケース達成を目指すと意気込むが、今年1〜6月の販売実績は250万ケース。3月から業務用を投入し販売数量を伸ばしているものの、まだ市場に定着したとは言えない。
スタンダードビールでは一度、苦杯をなめている。2015年に「サントリー ザ・モルツ」を発売したが、売り上げ不振などを理由に今年3月に製造を終了した。
昨年3月の東洋経済のインタビューで鳥井氏は、「スタンダードビールの売り方がわからないというのが正直なところ」と胸の内を語っていた。
強力な競合の中で苦戦を強いられているが、国内酒類トップを目指すならばそろそろ勝ち筋を見つける必要がある。鳥井氏の経営手腕はビール事業で最も試されることになりそうだ。
田口 遥:東洋経済 記者
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
サントリーHD 新社長に鳥井氏 日本初の“真”の世界的企業目指す 酒類は脱・日米依存、飲料は世界同一品
食品新聞 / 2024年12月13日 16時30分
-
サントリーHD社長に鳥井信宏氏 10年ぶり創業家出身
共同通信 / 2024年12月12日 20時11分
-
サントリー、10年ぶり“創業家”社長 「大政奉還では?」の問いに「そんな甘いものではない」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月12日 19時40分
-
サントリーHD、鳥井信宏氏が社長昇格 10年ぶり創業家
ロイター / 2024年12月12日 16時16分
-
サントリーホールディングス 創業家出身の鳥井信宏副社長を昇格へ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月12日 14時2分
ランキング
-
1「オタク婚活」VISA決済停止へ 相次ぐクレカ規制に「オタク排除」疑う声も...
J-CASTニュース / 2024年12月16日 14時20分
-
2新幹線の隣席が空いたので、離れて座っていた友人を呼んだら「これって非常識にならない?」と言われました。新幹線のルールとしてはアウトなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月15日 23時30分
-
3部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月16日 8時5分
-
4「年末年始も休まず営業します」は時代遅れ…「365日働く日本人」から撤退した"先進的企業"の英断
プレジデントオンライン / 2024年12月16日 9時15分
-
5「住宅ローン金利」どこが安い?銀行別ランキング 金利が上昇しても、"変動一択"と言えるワケ
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 7時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください