尹大統領「弾劾案可決」でこれから何が起こるのか 次期大統領候補と言われる李代表も実はピンチ
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 14時15分
韓国の公共機関へ北朝鮮によるハッキングが発覚したことがあったが、関連性を疑っていたようだ。ただ、国家情報院がすでに調査済みで、ハッキングは発見されなかったことがわかっている。
「野党の攻勢は度を超してはいましたが、そもそも野党に議席を許したのは、尹大統領の失政でした」と中道系紙記者は言う。ブランドバッグ受け取りなど夫人のリスク管理の怠慢、大学、高校の学閥人事、英断とされた医療改革も強引に推し進めることしかできなかった政治力の不在などを挙げて、こう続けた。
「中道だった尹大統領は政治基盤がないがために支持率を上げようと保守のように振る舞いました。そのうちに中道保守からの支持を失って、極右の主張に傾倒してしまった。戒厳令で野党を抑えこもうという発想はこうした極右の主張からくるものだったのでしょう」
14日夕刻、弾劾訴追議決書を受け、憲法裁判所は罷免の是非を判断する手続きに入った。審理は6カ月以内とされるが、盧武鉉元大統領は63日、朴槿恵元大統領は91日だった前例から考えると、判決は3月か4月になることが予想される。憲法裁判所の9人の裁判官のうち6人以上が弾劾訴追と判断すれば罷免となる。
憲法裁判所で罷免が認容されれば、60日以内に大統領選挙を行うことが定められており、5月か6月の大統領選挙が見通されるが、韓国政界は早くも次期大統領選の様相だ。
次期大統領候補としてもっとも有力とされるのは、共に民主党の李代表だ。同氏は尹大統領が弾劾訴追となった15日、さっそく国会で記者会見を開き、国政の安定化のために「国会と政府が共に国政安全協議体を構想する」ことを訴えた。その風情はまるで大統領で、スーパー野党が行政を主導するという意味にもとれる発言に与党「国民の力」はこれを即座に拒否している。
李代表は戒厳令宣布以降、外国メディアの取材を積極的に受けていたが、「英語が堪能な人材をかき集めて外国メディアに向けて英語のプレスリリースを作成していました。さながら大統領選挙のキャンプのようだと囁かれました」(国会関係者)。
李代表が大統領になると日韓関係は…
李代表が次期大統領になれば日韓関係は相当厳しいものになる。野党は、第一次弾劾訴追案にはその事由として尹大統領の偏った外交を挙げ、こう指摘した。
「いわゆる価値外交という名のもと地政学的バランスを無視したまま、北朝鮮や中国、ロシアを敵視し、日本中心の奇異な外交政策を主張し、日本に傾倒した人物を政府の要職に任命するなどの政策を展開することで、北東アジアで孤立を招き、戦争の危機を触発し、国家安全保障と国民保護の義務を放棄してきた」。
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