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サンフレッチェ新スタジアムで広島中心地が激変 ファミリー層や若者を取り込んで街全体が活況に

東洋経済オンライン / 2024年12月17日 12時0分

問題となったのは候補地です。広島というのは太田川のデルタに発展した町で平地が少ないんです。候補地も限られていて、挙がってきたのは旧広島市民球場跡地、広島みなと公園と現在の中央公園広場の3つ。しかし、2014年時点では『基町高層アパートが隣接していて、迷惑施設になりかねない』という懸念から、中央公園広場が外されてしまったんです」

候補地の決定にまで紆余曲折

そこでアクションを起こしたのが、当時のサンフレッチェ会長の久保允誉・エディオン代表取締役会長兼社長だ。2016年3月の記者会見で地元の名士はこう強調したという。

「サンフレッチェの声を聞いてほしい。我々は町中のスタジアムにこだわりたい。中心部にあることで将来の発展の基盤になるし、平和の発信基地にもなる。広島みなと公園では困難に陥るという試算も出ているため、ここに決まった場合、我々は一切、使いません」

この強い意思表明によって流れが大きく変わったと仙田社長は言う。

「結果的に中央公園広場が再浮上しました。自治体による住民対策も熱心に進み、2019年のトップ会談でようやく今の場所に作られることが決定しました。町中心部の専用スタジアムというのは、本当に関係者が努力に努力を重ねた成果なんです」

一方で、建設費用の捻出も大きなハードルだった。当初予定された建設費用は270億円。その負担内訳は、国庫補助金80億円、広島県・市が各50億円、寄付金が63億円、使用料収入等(市債)が27億円。寄付金63億円はエディオンが30億円、マツダが20億円、地元経済界が10億円、個人の寄付が3億円という見積りだった。

地元財界は「広島カープのマツダスタジアム建設時の寄付が12億~13億円だったのだから、サッカーにそれ以上を投じるのは難しい」と及び腰だったという。にもかかわらず、結果的に地元経済界の寄付は20億5800万円になった。個人の寄付も6億4000万円まで伸びた。これで広島県・市の負担分は各40億円程度に減少。

建設費高騰などで建設費総額は285億円に上積みされたが、国庫補助金が101億円超に増額されたこともあって賄うことができ、今年2月の完成にこぎつけたのだ。

ただこれでひと安心というわけにはいかなかった。「当初は不安要素も皆無ではなかった」と仙田社長は言う。

「まず気がかりだったのは、近隣の騒音です。2月10日にガンバとのこけら落としの試合があって、試合中に外に出て基町アパート群を歩いてみましたが、まったく音が聞こえなかった。試合後の人はけも実にスムーズで『これなら大丈夫だ。近隣に迷惑をかけずに済む』と大きな手ごたえを感じました」

サッカーファン以外も足を運ぶように

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