北朝鮮が韓国の「戒厳令・弾劾」にとても冷静な理由 専門家に聞く・金正恩政権の政策変化が影響か
東洋経済オンライン / 2024年12月17日 8時0分
2024年12月3日深夜に韓国で突如として発表された「非常戒厳」(戒厳令)。戒厳令を発表した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は国会の多数を占める野党に押され約6時間後に解除を強いられた。その後、韓国国会は尹大統領の弾劾訴追案を可決。憲法裁判所による審判と、韓国政治は混乱と空白期を迎えている。
韓国と対峙してきた北朝鮮はこの事態をどうみているか。北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』は12月11日になって初めてこの事態に反応した。その後、同月12日、同月16日と報道している。ところが、その報道ぶりがこれまでの韓国関連の報道と比べると変化しているようなのだ。例えば、北朝鮮は韓国への内政介入とも思われる言葉で韓国を強く批判する報道が過去にあったが、戒厳令という重大な事件について淡々と事態を説明する論調を続けている。
こういった北朝鮮メディアの報道の変化にどのような意味や意図があるのか。北朝鮮情勢に詳しい、日本経済研究センター特任研究員の李燦雨(リ・チャンウ)氏に北朝鮮の反応について話を聞いた。
戒厳令布告から1週間の沈黙
――12月11日付『労働新聞』は「傀儡(かいらい)韓国で非常戒厳事態、社会的動乱が拡大、全域で100万人以上の群衆が尹錫悦弾劾を要求する抗議行動を展開」との見出しで初めて報道されました。戒厳令布告から1週間後の報道というタイミング、あるいは1週間は無反応だった北朝鮮の態度をどうみますか。
今回、12月11日付の最初の報道をみると「外国で起きた非常事態についての説明報道」というトーンだ。これまでの北朝鮮は、韓国の政治問題にあたかも介入することは当たり前といった声明を出し、宣伝扇動も行うという「統一戦線」戦術を使ってきた。ところが、今回は「敵対的な外国の国内情勢について知らせる」といった内容といえる。
報道までに時間がかかったのは、韓国での戒厳令の布告と、国会によるその解除決議という事態の発生に対する分析に時間がかかったとみられる。韓国で戒厳令はこの44年間なかった。そして国会による解除決議は初めてのことだ。その後の事態の動き、例えば第2の戒厳令が布告される可能性をも見極めていたのだろう。
戒厳令というのはたいへん深刻な事態だ。韓国の軍部の動き、北朝鮮に対する態度などに北朝鮮がどう対応するか、その用意をするために情報の収集に時間がかかったと思う。
――見出しにある「傀儡韓国」という言い方は北朝鮮らしい表現ですね。
この記事に関連するニュース
-
北朝鮮も韓国・尹錫悦大統領の起訴伝える「聴取を一度もまともにできないまま」
日刊スポーツ / 2025年1月29日 12時16分
-
尹大統領を送検、起訴判断へ 韓国弾劾審、前国防相尋問
共同通信 / 2025年1月23日 19時38分
-
「カカオトーク検閲」に韓国人が猛反発…「野党にウンザリ」逮捕されたユン大統領の支持率が急上昇しているワケ
プレジデントオンライン / 2025年1月23日 16時15分
-
「わが国なら一族が滅ぼされる」大統領を逮捕できる韓国を羨む北朝鮮の人々
デイリーNKジャパン / 2025年1月22日 15時0分
-
「韓国は崩壊する」北朝鮮国民の間に漂う緊張感
デイリーNKジャパン / 2025年1月17日 11時30分
ランキング
-
1N国党党首の保身と押し付け…反発した者には常軌を逸する卑劣攻撃【立花孝志はなぜ選挙モンスターになったのか】#2
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月5日 9時26分
-
2国内最古級の文章?土器片に「何」「不」の漢字か…高知・南国の若宮ノ東遺跡から出土
読売新聞 / 2025年2月5日 10時55分
-
3「金正恩の最新兵器」がロシアの誤爆で鉄クズに…捕虜になった北朝鮮兵士が収容先で漏らした"意外な要求"
プレジデントオンライン / 2025年2月5日 7時15分
-
4交通整理中の警察官をトラックを急加速させはねて逃走、55歳会社員を殺人未遂容疑で逮捕…警視庁
読売新聞 / 2025年2月5日 8時28分
-
5「アメリカ社会は『頭脳』と『肉体』が分離している」昭和史研究家・保阪正康が読み解く“戦後のアメリカ像”の本質
文春オンライン / 2025年2月5日 6時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください