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日立の新社長は「創業の地からやって来た大本命」 德永氏が加速させる「デジタルセントリック」とは

東洋経済オンライン / 2024年12月17日 7時30分

現社長の小島氏の社長就任は、中西宏明元会長(2021年逝去)の体調悪化を受けて、当時社長だった東原氏が想定より時期を早めて会長に繰り上がることが1つの契機となった。

約3年ぶりの社長人事にはそうしたイレギュラーがなく「タイミング・人選ともこれ以上ないほど順当な人事」(関係者)と受け止められている。来年4月の社長就任以降は、德永氏が立案した計画を自らの手で実現していくことになる。

重電大手からデジタル企業に変貌

IT分野の経験が長い德永氏を次期社長に選んだことには、社内外のデジタル化をさらに加速するというメッセージが込められている。

日立に対する評価は2024年の1年間だけでも大きく変わった。年初に約10兆円だった時価総額は11月末の時点で1.8倍の18兆円に上昇。上場企業の時価総額ランキングで三菱UFJフィナンシャル・グループやソニーグループと2位を争うまでに拡大した。

かつては東芝や三菱電機と並ぶ重電大手の一角だったが、足元の利益構成を見ると、企業向けのシステム開発などを行うデジタルシステム&サービス(DSS)が36%で最も大きい割合を占める。

次いで、産業機械や半導体製造装置、家電などのコネクティブインダストリーズ(CI)が35%、海外を中心に鉄道や送配電設備を手がけるグリーンエナジー&モビリティ(GEM)が22%となっている(いずれも2023年度の実績、調整後EBITAベース)。

とくにIT関係のDSSと再エネの追い風が吹くGEMに対する投資家の期待は大きい。直近のアナリストコンセンサスでは、日立の2024年度の税前利益は約9600億円(S&P Capital IQ)と予想されている。これは会社側の計画8550億円を12%も上回る水準だ。

10月末の中間決算発表では、公表した実績がアナリストコンセンサスを下回ったことで株価が一時急落する局面もあった。期待が高いだけに、目標を下回った場合の反動も大きくなっている。

また、金融関係者の中には「今の日立経営陣は川村隆・元会長や中西・元会長が打ち出した方向性を踏襲しているだけで、次の成長ストーリーを示せていない」と指摘する声もある。

「デジタルセントリック」の真意

德永氏の新社長としての最大の課題は、市場からの高い期待に応えつつ、次期中計の2027年末以降を見据えた成長戦略を立案・実行していくことになるだろう。

12月16日の記者会見で、德永氏は「日立は3つのセクターが独立してきちんと稼げる事業体に転換した。これから先、日立ならではの価値を提供し、成長していくためには、GEMセクターやCIセクターとともにデジタルで共通した価値を作り出せるかがポイントだ」と述べた。

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