急増の「小さな葬儀」"意外なトラブル"に要注意だ 人気の「家族葬」メリット・デメリットは?
東洋経済オンライン / 2024年12月18日 11時0分
結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。
共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方で「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。
そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配ごとをクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』だ。
著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。
その松尾氏が、「家族葬」など最近増えている小規模な葬儀について解説する。
コロナ禍が拍車をかけた「葬儀の小規模化・簡素化」
近年、葬儀の「小規模化」「簡素化」が進んでいます。
【数字で見る】「どんな葬儀を選んだ?」家族葬・小さな葬儀を選んだ人の割合、驚きのアンケート調査
従来のように、家族・親族だけでなく、知人や地域の人、職場関係者なども集まる葬儀は「一般葬」と呼ばれます。
一般葬では、前日夜に通夜(通夜振る舞い)、当日に葬儀・告別式を行い、火葬・お骨上げをして、初七日法要を経たのち、四十九日法要で遺骨をお墓に埋葬する。というのが一般的な流れでした。
しかし、コロナ禍が葬儀の小規模化、簡素化に拍車をかけました。
その結果、「家族葬」「一日葬」「直葬」といった形態のお葬式を選ぶ人が増えているのです。
今後、多くの人が参列するスタイルの一般葬は減っていくでしょう。
しかし、本当にそれでよいのでしょうか?
「家族葬」「一日葬」「直葬」それぞれを簡単に紹介すると、
★「家族葬」は親族や近親者のみで小規模に行うもの
★「一日葬」は通夜なしで告別式のみを行うもの
★「直葬」は通夜も告別式も行わず火葬をするもの
となります。
今では家族葬が半数を超えているというアンケート調査もあります。
「故人と縁のあった人々のための儀式」でもある
また、葬儀といえば「誰に伝えるべきか」という問題があります。
家族以外に訃報を伝えず、
簡素な葬儀は遺族にとって負担が少ないのかもしれません。
しかしまず考えたいのは「葬儀は誰のためのものか」
葬儀は故人のためだけでなく、近しい間柄の人が喪失を受け入れる意味合い、所縁のあった人々がお別れを告げる社会的な意味合いがあります。
故人と親しい間柄にあった人にとっては、葬儀という儀式を通じて、故人との思い出や喪失感などの気持ちを共有することで、死を受容していくという大切なプロセスなのです。
また、葬儀、法事、法要は、遠方住まいでなかなか会えない親族や知人と交流を深める機会でもあります。
「葬儀は面倒と思っていたけれど、連絡したらめったに会えない親族や知人が参列してくれて、故人のためにもやってよかった」
という声もよく聞きます。
20〜30名の「家族葬」が人気
とはいえ、実際のところ、従来のような「一般葬」を行う人は減っています。
親戚付き合いや近所付き合いの希薄化、故人の高齢化によって、関わりのあった人がすでに亡くなっていたり、高齢で参列できなくなっていたりという理由もあるためです。
小規模な葬儀は「家族葬」と呼ばれますが、参列者が家族・親族でなければならないわけではありません。親しい友人・知人などが参列する場合もあります。
そのため20〜30名程度の規模で、親しい人のみで故人をゆっくりと見送れる「家族葬」を選ぶ人が増えています。
最近では、小規模葬儀に特化した葬儀場も増えており、遺族が故人との最後の時間をくつろいで過ごせるように配慮した建物のつくりもあるようです。
小規模な家族葬は、祭壇や斎場の規模が小さくなるため、一般葬と比べて費用を抑えられます(宗教者に対するお布施などは、一般葬と同様にかかります)。
しかし、葬儀費用そのものは抑えられても、小規模であるほど参列者が少ないため、香典も少なくなります。
葬儀費用の一部を参列者からの香典でまかなうと考えた場合、じつは一般葬のほうが施主側の負担が少なかったというケースもよくあります。
むしろ「葬儀後の対応」が面倒になる
もう一点、考えておくべきなのが、葬儀後の対応です。
誰にも知らせずに葬儀を済ませてしまうと、後から故人の死を知った親族や知人などが、「葬儀に呼ばれなかった」と不満を感じたり、「故人に線香をあげさせてほしい」と自宅に弔問に来たりすることも。
葬儀後にこれらの対応をしなければならなくなり「これなら一般葬にしておけばよかった」と後悔する人も少なくありません。
遺族の負担もわかりますが、「家族以外には連絡しない」「直葬で済ませてしまった」などは、後悔やトラブルの種になることもあるのです。
また、故人とゆっくり向き合うために家族葬を選んだのに、実際はあまり時間の余裕がなく、葬儀後に「本当に家族葬でよかったのか」と自問自答する方もいるようです。
葬儀はやり直すことのできない儀式です。
一般葬と家族葬の特徴をよく理解して、「何を優先するか」「どのくらいの規模にするか(誰に参列してもらうか)」など、知識をつけたうえで「しっかり準備」して「後悔のない選択」をしましょう。
松尾 拓也:行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家
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