ロールス・ロイス「ゴースト」セダン継続の真意 EV全盛の今、12気筒エンジンも継続する心意気
東洋経済オンライン / 2024年12月18日 12時0分
ダッシュボードには、アナログ式時計と、その下にラジエターマスコットであるスピリット・オブ・エクスタシーの像が収まった「クロックギャラリー」が、カリナンに次いで採用された。機能とはまったく関係なく、オーナーには嬉しい装備かどうかも、私には不明ではあるが……。
ゴースト・シリーズⅡを、こうして力を入れて開発している背景は、ロールス・ロイスとしてセダンをあきらめない姿勢が現れているのだろう。一応、その部分についても確認してみた。
「私たちのラインナップでもっとも売れているのはSUVのカリナンですが、サルーン(セダン)独自のエレガンスを求める顧客は一定数います。SUVの持つ機能性がすべてでなく、4人がすばらしい快適性でもって長距離ドライブに出かけられる。そこに(ゴーストのような)4ドアGTの真髄があると考えています」
「今のボリュームはそう多くないかもしれませんが、この先もセダンを作り続けていきます」とプロダクトマネージャーのマット・バット氏は言う。
12気筒ガソリンエンジンは存続
さらに、12気筒エンジンの未来を、ロールス・ロイスではどう考えているのかと尋ねた。
「可能なかぎり作り続けていくつもりです。電気と12気筒の2本立てで、ハイブリッドはありません」と、ずいぶんと潔い答えが返ってきた。
ゴースト・シリーズⅡには、先に触れたように、後席空間がより広い「ゴースト・シリーズⅡエクステンデッドホイールベース」(全長5715mmにホイールベース3465mm)と、よりスポーティな「ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズⅡ」が同時に用意された。
ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズⅡ(最高出力で30kW高く、最大トルクでは50Nm太い)は、ロールス・ロイスのオーナーの平均年齢を大幅に引き下げるのに成功したと言われるラインで、実際にゴースト・シリーズⅡでも、しっかりした足まわりと、よりダイレクト感のあるステアリングで、スポーティな走りを好む人に向いたモデルと感じられた。
さらにブラック・バッジ・ゴースト・シリーズⅡでは、ステアリングコラムから生えている細いシフトレバーに設けられた「LOW」ボタンを押すと、シフトアップのタイミングが遅くなり、エンジンをよりトルクが出る高回転域で使えるようになり、これがかなり速い。
伝統と革新を重んじるロールス・ロイスの思想
ゴースト・シリーズⅡは、外板色や内装のカラーバリエーションが豊富。4万4000色といわれるカラーから自分の仕様を組み立てるのに困惑してしまうオーナーもいるそうで(そりゃ、いるでしょう)、そういう人のためには、あらかじめ色を組み合わせたパッケージが用意されている。それがここで紹介している各色だ。
伝統的でありながら、性能面でも快適性の面でも、先へと進んでいるロールス・ロイスのゴースト・シリーズⅡなのだった。
【Specifications】
Rolls-Royce Ghost Series Ⅱ
全長×全幅×全高:5545mm×1998mm×1573mm
ホイールベース:3295mm
6750ccV型12気筒 全輪駆動
最高出力:420kW(571ps)/5000〜6000rpm
最大トルク:850Nm/1600〜4250rpm
8段オートマチック変速機
車重:2490kg
価格:3875万4040円(ベース価格)
小川 フミオ:モータージャーナリスト
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