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「外遊びの時間が減ると近視になりやすい」の事実 大事なのは、遺伝よりも子ども時代の環境

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 12時0分

窪田:子どもの外遊びの重要性について、政府や一般の方たちに伝える活動をされているのですね。

為末:はい。子どもを取り巻く問題には、貧困や虐待など、緊急度の高いものがありますので、最優先というわけにはいきませんでしたが、それでも理解を広めてもらうための第一歩はクリアできたかなと思っています。

近視になるかどうかは、遺伝ではなく環境による

窪田:「外あそび推進の会」での活動を通して、親御さんたちからはどんな反応がありましたか?

為末:まず「外遊びの時間が減ると近視になりやすいと知っていましたか?」と聞くと、皆さん「知らなかった!」とびっくりされます。

目に関しては、スマートフォンの見過ぎなどを気にしている親御さんは多いものの、日中に太陽光を浴びることが近視の抑制になることは知らない人がほとんど。「近視は遺伝するから仕方がない」と思っている人が多いなと。

窪田:そうなんですね。小さいお子さんを育てている親御さんたちに、近視と外遊びの関係性が知られていないことは、私の実感とも一致しています。

近視は遺伝的なものによるよりも、環境が大きく影響する。だからこそ、子ども時代にどう過ごすかがとても大事。まずはそのことを知ってほしいです。

世代間によるギャップが大きい外遊びの認識

為末:私の子ども時代と比べると、最近では子どもたちが外遊びしにくい環境があって。公園ではボール遊びが禁止されていたり、子どもの声が騒音だとしてクレームが寄せられたり……。

窪田:そもそも子どもたちが自由に遊ぶのが“外遊び”ですから、制限があるとのびのび遊べませんよね。

為末:「子どもの声がうるさい」と言われてしまうと、たとえそれが少数派でも、親御さんたちは気を遣って、子どもに注意をします。「もっと小さい声で静かに遊ぼう」となりがちです。でも、子どもが外で静かに遊ぶなんてできるわけがないでしょ、って思うんですけど(笑)。

窪田:できるわけない(笑)。自分の子どもの頃を考えても、そう思います。

為末:ドイツでは、もう10年以上前に子どもの声を騒音の対象外にするという法律が制定されています。「子どもの声は騒音ではない」とはっきり示されている。

窪田:日本では子どもの遊び場そのものが減っているんですね。

為末:さらにルール上の問題もあります。例えば、放課後に学校の校庭を使おうとすると、管理者の許可が必要になります。何か問題が起きたら、校長先生が責任を負わされる。それだと先生も「いつでも自由にどうぞ」とは言いづらくなりますよね。それに対して大阪などでは、放課後の校庭を地域で自治管理するという動きも出てきています。

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