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「外遊びの時間が減ると近視になりやすい」の事実 大事なのは、遺伝よりも子ども時代の環境

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 12時0分

窪田:国や自治体で、積極的に子どもの遊び場を作っていく必要があると。

為末:そう感じます。「外あそび推進の会」の調査で興味深かったのが、外遊びに対する世代間の認識の違いが大きいこと。さらには、都市部と地方でも違いがあることが分かってきました。

窪田:世代間の違いとは?

為末:ある世代以上の人たちにとっては、自分たちは自由に外遊びができていたので、そもそも遊びの環境を整える必要があることが、直感的に理解されにくいんです。

窪田:たしかに「わざわざ環境を整える必要があるの?」と思う人は多そうです。でも、安全性の面から見ても、子どもを取り巻く環境は、ここ数十年で大きく変わっていますからね。

都市部か郊外か、住む環境で近視のなりやすさが変わる

為末:もう一つの、都市部と地方での認識の違いも大きくて、先ほどの学校の校庭が使えない問題も、ほとんどが都市部で起きています。一方、地方ではわざわざ学校の校庭を使わなくても、公園や広場がたくさんあるので「そこで遊べばいいんじゃない?」と。

窪田:遊び場がないのは、都市部の課題と受け止められてしまう。

為末:やはり温度差はありますね。地方に行くと「むしろ最近は公園に子どもがいなくて寂しいくらいだよ」と言われることも。地域によって、子どもたちが外遊びできる環境作りの重要度が変わってくる。活動を通して、それを実感しました。

窪田:外遊びに対する認識が、都市部と地方で違うというお話は面白いですね。実は、住んでいる地域によって近視のなりやすさにも違いが出るんです。

為末:そうなんですか?

窪田:例えば、シンガポールのようにビルが建ち並ぶ環境で育ち、ずっと室内で遊んでいたような子どもは、近視になる確率が高くなります。日本の都市部も同じような環境です。

それに対して、オーストラリアのような広々とした土地に暮らすと、外に出る時間が多くなり、自然と近視の有病率は下がっていきます。

為末:なるほど。それほど環境的な要因が大きいのですね。

窪田:はい。ですから、たとえ遺伝的には同じ要素を持っている家族だったとしても、住んでいる場所が違えば、近視のなりやすさも変わります。それを知ってもらえると、外遊びを推奨する重要性も分かってもらえるのではないかと。

次回はさらに深掘りして、子どもの外遊び時間が減ったことで、他にどんな問題が起こっているのかをお聞きしていきます。

(構成:安藤梢)

窪田 良:医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

為末 大:元陸上選手

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