7万で実用性追求、XREALの新ARグラスの可能性 反応速度3ミリ/秒へ、周辺機器不要で作業効率を向上
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 11時30分
「AR for ALL」を掲げて市場の拡大を狙う。ARグラスメーカーの中国XREALは12月11日、新製品「XREAL One」を発表した。本体に必要機能を組み込み、「かけるディスプレイ」としての機能を向上。手の届く価格で実用性を追求した。
【写真で見る】サングラスの内側にプロジェクターを備え、視界に映像を投影できる
7万円で実用性追求、高級モデルとは異なる路線勝負
「XREAL One」は、サングラス型のディスプレイデバイスで、本体をかけると目の前に映像が表示される。スマホやパソコン、ゲーム機と有線で接続して使う製品だ。
従来機種のXREAL Air 2シリーズとの違いは、独自開発の空間演算チップ「XREAL X1」を搭載したこと。これはSoCと呼ばれるARグラスで必要な演算処理全般を賄えるチップだ。このチップにより、頭の動きを3方向(上下・左右・回転)で検知する3DoF機能や、メニュー操作機能を本体に統合した。これまでゲーム機との接続に必要だった別売りの「XREAL Beam」も不要になった。つまり、ユーザーは複数の周辺機器を持ち歩く必要がなくなり、シンプルな運用が可能になったのだ。
仕事での使い勝手がぐっと良くなった。機器の管理や充電の煩わしさから解放され、外出先での作業もラクになる。値段も抑えめで、本体価格6万9980円は従来モデルと外付け機器を合わせた金額とほぼ変わらない。ユーザーの負担を増やさない価格設定は、製品普及への強い意気込みを感じさせる。
快適な使用感を生む技術の進化
顕著な進化は、画面の表示速度だ。独自チップが実現した3ミリ秒の反応速度は、一般的なARディスプレイの15~20ミリ秒よりも大幅に早い。これは「AR酔い」を低減し、画面を見やすくする効果がある。
従来のARグラスは頭を動かすと画面の追従が遅れ、長時間使用でどうしても目が疲れがちだった。新製品は人間が感じ取れないレベルまで遅延を抑え、空中に画面が固定されているような自然な見え方を実現。長時間の作業でも目の疲れを大幅に軽減でき、PC作業での利用を踏まえてもかなり重要な進化と言える。
視野角も46度から50度に広がった。デスクワークがより快適になり、画面の端まではっきり見える。見え方としては、30センチ先に32インチモニターを置いたような感覚で、文書作成やネットサーフィンもストレスなくこなせる。視野角の拡大は作業効率の向上に直結する。複数のウィンドウを開いての並行作業も、より自然な形で実現できるようになった。
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