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7万で実用性追求、XREALの新ARグラスの可能性 反応速度3ミリ/秒へ、周辺機器不要で作業効率を向上

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 11時30分

さらに、高精度な3DoF機能と広い視野角を組み合わせることで、これまでにない使い方も可能になった。例えば、視界の端に動画ウィンドウをピン留めしておき、メインの作業をしながらBGM感覚で動画を楽しむといった使い方だ。頭を動かしても画面の位置が固定されているため、作業の邪魔にならない。また、パソコン向けの専用アプリを使えば複数のブラウザウィンドウを空間内の異なる位置に配置し、首を動かすだけで素早く切り替えられる。まるで複数のディスプレイを並べているかのような感覚で、マルチタスクを効率的にこなせる環境を実現している。

仕事での使い道としては、例えば新幹線や飛行機での作業が挙げられる。座席が狭くても、前の席が倒されたとしても、姿勢を自由に変えながら大画面作業できる。コワーキングスペースでも、周りを見渡せながら、自分の画面は他人の目から守れる。

場所を選ばず働くモバイルワーカーにとっても、この柔軟性は大きな武器となるはずだ。カフェやラウンジでの作業時も、周囲の状況を把握しながら、プライバシーを保った作業環境を確保できる。従来のノートPCでは難しかった、この両立を見事にクリアしている。

音響面でも工夫が光る。サウンドブランドのBoseと組んで開発した音響システムに、4つのマイクを搭載。周りの雑音を抑えながら、クリアな音声通話を実現。オンライン会議でも活躍しそうだ。雑音の多い環境下でも、クリアな通話品質を保てる点は、リモートワークが日常となった現代のビジネスシーンにマッチしている。

市場を広げる戦略

ARグラス市場は今、Apple Vision Proの登場で大きな転換期を迎えている。高機能・高価格路線の製品が注目を集める中で、XREALは「AR for ALL」という異なる道を選んだ。実用的な機能を手頃な価格で届けることで、より多くのユーザーの取り込みを狙う。

独自チップの開発は、この戦略の要となる一手だ。ハードウェアで差別化を図りながら、コストも抑える。外付けデバイスの統合による部品点数の削減や、独自チップによる電力効率の向上など、細部にまで及ぶコスト最適化の努力が窺える。

今後の展開にも注目だ。XREALはAIとの連携を視野に入れており、音声認識や画像処理など、さらなる機能の広がりも期待できる。ソフトウェア面での進化により、使用シーンの拡大も視野に入れているようだ。

ARグラス市場の牽引者として一石を投じたXREAL。高性能と手頃な価格を両立させながら、実用性を追求する新製品は市場拡大の鍵を握る立場になりそうだ。ビジネスユースを入り口に、AR技術の普及を加速させる可能性を秘めた意欲作と言えるだろう。

石井 徹:モバイル・ITライター

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