1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

大阪メトロ「万博の玄関口」夢洲駅の実力は? 大勢の来場者を想定、広大な"近未来"地下空間

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 6時30分

2カ所ある改札口のうち、万博の東ゲートに近い南改札口には16台の自動改札機がずらりと並び、うち9台がQR乗車券やクレジットカードのタッチ決済対応、1台が顔認証専用となっている。

コンコースの壁面には高さ約3m、長さ約55mと駅構内では日本最大級のデジタルサイネージが設けられたほか、改札口付近にも可変式のサイネージがぶら下がり、金属パネルを用いた折り紙天井と相まって近未来を感じさせる。

【写真の続き】天井から大型サイネージがぶら下がる南改札口付近の様子

コンコースの北側には、トイレや休息スペースがまとめられていた。トイレは男性用・女性用に加えオールジェンダー対応として完全個室型のトイレも設置。授乳やおむつ替えなどに使えるベビーケアルームに加え、発達障害やパニック障害を持つ人が人混みや騒音などによる感覚過敏な状態から避難できる「カームダウン・クールダウンスペース」を設けるなど、大阪メトロでは初となる取り組みがなされている。

シックな色合いのホーム

ホームは1面2線の島式構造で、長さは約160m、幅は約10m。中央線は現在6両編成だが、8両編成に対応できる長さが確保されている。壁や天井、可動式ホーム柵は黒を基調としたシックな色合いで、中央線のラインカラーである緑色のライン照明がシンプルながら引き締まった空間を印象付ける。

駅のデザインには「移世界劇場」というコンセプトワードが掲げられており、列車を降りた乗客が照度を落としたホームの線路側から光を反射するメタリックな折り紙天井、そして明るいコンコース階へと導かれることで、移動の魅力や多様性を演出しているそうだ。

万博に合わせて導入された新型車両・400系はまるで宇宙船のような“顔”を持つ。さぞかしこの空間によく似合うことだろう。

【写真の続き】ホーム階の天井は金属製の折り紙調、壁面には中央線のラインカラーである緑色のライン照明、そして夢洲駅の駅名標

ところで、1970年に大阪・千里丘陵で開催された万博では、大阪メトロの前身である大阪市営地下鉄が今回と同様、来場者輸送に大きく貢献した。

この時は、地下鉄御堂筋線と直通する北大阪急行が、会場メインゲート近くに万国博中央口駅を開設。同駅とここに続く会場線は万博の会期中だけ営業し、閉幕と共に廃止された。

わずか半年間のためだけに、駅だけでなく路線そのものも新設するというのはあまり例がなく、これだけを見ても1970年の万博がいかにすごかったかが分かる。

【写真の続き】2025年大阪・関西万博を控えた夢洲駅の改札口。1970年万博で活躍した北大阪急行電鉄の旧会場線跡の写真も

万博後の駅の未来は?

一方、今回の延伸区間は全線が地下構造であり、全体の事業費も約520億円と莫大なこともあって、さすがに「半年で廃止」というわけにはいかない。では、閉幕後は延伸区間が“お荷物”となってしまうのかと思われがちだが、どうやらその心配はなさそうだ。

というのも、万博会場の北側ではIRの建設が始まっている。IRの運営事業者は、大阪府に対し違約金なしで事業から撤退できる「解除権」を2024年9月に放棄しており、IRの開業はほぼ確実となった。運営事業者は2030年秋の開業を目指しており、その暁には夢洲駅も来訪者輸送に一定の役割を果たすだろう。

紆余曲折を経て、ようやく開業にこぎつけた夢洲への地下鉄路線。その前途が明るいものであることを祈りたい。

伊原 薫:鉄道ライター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください