「社員を監視するテクノロジー」が導入される恐怖 「支配される人」ばかり監視されるディストピア
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 11時0分
控え目な推定によると、主に有毒化学物質、不良品、毒性廃棄物や有害な汚染物質への曝露(ばくろ)、厳格な検査なしに提供される依存性物質に関連した企業の違法行為のせいで、毎年およそ30万のアメリカ人が亡くなることもわかっている。これは、アメリカで毎年自殺する人の数のざっと20倍にもなる。
それにもかかわらず、企業の本社で最も監視されているのは、そのような深刻な害を最も及ぼしそうでない人であることがあまりにも多い。
支配される人ではなく支配する人を監視せよ
重役室や役員室は不透明なままだ。役員室は隠しマイクで盗聴されないし、役員がGPSソフトウェアで追跡されることもない。オープン・プランのオフィスの長所を絶賛するCEOたちは、たいてい自分の執務室の閉ざされたドアの向こうに引っ込んでいる。
トップレベルの重役たちに「生産的」に時間を使わせるために、彼らのキーストロークが記録され、精査されることがないのは請け合いだ。
これはなにも、そこまで厳格な監視をしはじめるべきだというわけではなく、むしろ、どんな監視をするにしても、まず上層部を対象にするべきである、ということだ。
交通規則や信号を無視して道路を横断するありきたりの人々ではなく、中国の腐敗した共産党こそ、はるかに厳しい精査を受けて然(しか)るべきだ。
支配される人ではなく、支配する人のことこそ、私たちは懸念する必要がある。自分の腐敗した行為が監視されているのではないか、と権力を握っている人々が心配していたなら、世の中はもっと良い場所になるだろう。
(翻訳:柴田裕之)
ブライアン・クラース:ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン准教授
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