「骨の老化」を甘く見る人が知らない"ドミノ骨折" 「骨こそが健康長寿のカギを握る急所」の理由
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時15分
骨粗鬆症による骨折が怖いところは、一度骨折すると、次から次へと別の骨折を引き起こす「ドミノ骨折」が起こることだ。それによって、歩きにくくなる、背中が大きく曲がって内臓を圧迫する、寝たきりになるなど、日常生活に大きな影響をおよぼすようになる。骨が悪くなることは、骨だけでなくその周辺の筋肉や関節など、体を支えたり、動かしたりする運動器全体の健康に直結する。
さらに、骨粗鬆症になると、心筋梗塞や脳梗塞などといった、心臓や血管の病気のリスクが高まるという報告もある。「たかが骨。たかが骨折。生命に関わるものではない」などという考えは大間違い。骨こそが健康長寿のカギを握る急所なのだ。
骨が弱くなると、なぜ血管も衰えてしまうのか
さて、ここから私が主張したい「人は骨とともに老いる」という考えについてだ。
骨と血管の関係を語る上で欠かせない、重要なキーワードが「カルシウム」だ。私は骨の研究に際し、カルシウムの代謝について専門的に研究を続けてきた。
カルシウムの99%は、骨と歯に蓄積されている。骨と歯に存在する以外の1%は血液の中にある。カルシウムには、骨や歯を作り、丈夫にすることのほかに、筋肉を収縮させる、心臓の正常な鼓動を保つ、血液を固めて出血を予防する、イライラを鎮め気持ちを落ち着かせるなど、さまざまな役割がある。
カルシウムの最も重要な働きは、人間の体に存在する約40兆個もの細胞に情報を伝達することだ。血液中のカルシウムは、副甲状腺から分泌されるホルモンの働きによって常に一定の濃度に保たれていて、体内のさまざまな機能を正常に維持する役割を果たしているのだ。
例えば、筋肉が正しく収縮したり、心臓が規則正しく拍動したりするためには、血液中のカルシウムの濃度が一定に保たれることが必要だ。
血液中のカルシウムが不足すると、細胞に正しく情報が伝わらなくなり、筋肉が痙攣を起こしたり、脈が乱れたりすることもある。血液中のカルシウムが足りなくなると、心臓が止まるのを避けるために、骨からカルシウムが血液中に溶け出し、不足分を補うシステムができている。
人間の体は、実に理にかなった働きをするものだ。
カルシウム不足が及ぼす悪影響
血液中のカルシウム不足が慢性化すると、カルシウムの濃度を回復しようと副甲状腺ホルモンの分泌が増え、骨から過剰にカルシウムが溶け出すことになる。そうすると、骨のカルシウムが奪われ、骨粗鬆症になりやすくなる。
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