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「骨の老化」を甘く見る人が知らない"ドミノ骨折" 「骨こそが健康長寿のカギを握る急所」の理由

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時15分

一方で、骨から過剰に溶け出したカルシウムは、心臓や腎臓、肝臓、脳などのあらゆる細胞の中で増加する。例えば、血管の壁にある平滑筋にカルシウムが過剰に貼りついてしまうと、血管が収縮して狭くなる。そこに無理やり血液を通そうと心臓が強い圧力を加えて血液を送るため、高血圧になる。

また、血管にカルシウムがたくさんたまることで血管が狭くなり、心臓や脳に血液を送る血管が動脈硬化を起こすこともある。骨粗鬆症が心筋梗塞のリスクを高めるといわれるのは、そういう理由だ。

骨が弱くなるから血管が老いるということではなく、骨が弱くなるのも、血管が老いるのも、どちらも「カルシウム不足」が原因で起こる。つまり、カルシウム不足が骨にも血管にも、ひいては全身にも悪い影響をおよぼすということなのだ。

「人は骨とともに老いる」ということをおわかりいただけたであろうか。骨はカルシウムの貯蔵庫であり、その蓄えが減っていくと骨粗鬆症はもとより、溶け出したカルシウムにより高血圧、動脈硬化、糖尿病などさまざまな病気にかかりやすくなる。骨の老化が全身の老化のバロメーターになるといって差し支えないだろう。

折茂 肇:骨粗鬆症財団理事長

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