「低偏差値校→難関大」合格に導いた先生の教え ほかの先生に理解されない中、受験指導続ける
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 9時10分
「教育困難」を考える本連載。今回は、偏差値40台の東日本の公立高校で働く有田先生(仮名)とその生徒たちに、同校から難関校への輩出が続く背景を、15年前に「教育困難」校を卒業した濱井正吾氏が伺いました。
早稲田や青学など難関大合格者輩出
今回お話を伺ったのは東日本にある偏差値40台の高校で「勉強会」を主催している有田先生(仮名)です。
有田先生が勤務する高校は、高度経済成長期に大都市のベッドタウンとして開発が進み、急速に栄えた地域に存在します。そこは開発の進行に伴って急速に治安が悪化し、犯罪発生数が周辺地域の中で最多になったこともある地域でした。
犯罪発生数はかつてより下がったものの、同地域の高校の半分ほどが、偏差値30台や40台の学校です。さらに少子化が進行しているため、地域でいちばんの学校以外は、定員数を確保するための競争が激化しています。
このうちの1つである、有田先生の学校の教員は現在40名程度。先生たちは日々授業準備・部活動・進路指導・保護者対応などの業務に追われています。
同校に通っている生徒たちは、経済的に困窮している家庭というよりも、「家から近い合格圏内のこの学校に来ている」生徒が多いようです。日頃から勉強をする習慣がない生徒も多く、受験勉強を始めるのは部活動引退後の3年生の夏過ぎから。生徒の多くは推薦入試で大学に進み、一般受験をする生徒は少数派です。
そのような環境であることから、一般受験に向けた指導を行うことは容易ではありません。
そこで有田先生は20年間もの間、生徒の偏差値を上げ続け、早稲田大学や青山学院大学など難関大の合格者を輩出し続けています。有田先生の指導はいったいどのようなものなのでしょうか。
有田先生は、もともと別の学校で、進学クラスを担当していました。ほかの先生たちもみんな、合格に向けて、放課後を使って補習を行っていました。先生たちの努力は進路実績にも反映されていました。
そこから偏差値40台の学校に異動した有田先生は、前任校との違いに驚いたそうです。そこでは教員の協力体制は乏しく、前任校と同じように熱心に指導しようとしたところ、別の先生から「いっぱい補習しても、ここの生徒は変わらないよ」と言われることもありました。
有田先生はそのような空気の中で、たったひとりで放課後に、進学を目指す生徒のために英語の補習を始めました。
挫けそうな環境で日々受験指導
有田先生は当時を振り返りながらこう語ります。
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