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「食事の戦略」は人間関係を広げる"最高の武器"だ 「交友関係」こそ人生を豊かにする"最高の財産"

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 12時30分

特別感を出すなら フレンチ・イタリアン

フレンチのメリットは、特別感や豪華なイメージ。親しい人、いつも会食をするメンバーの誕生月、定年祝い、永年勤続、創業〇周年などの「記念日」に利用するにも適している。

一方のイタリアンは、気軽な会食に使えるところが魅力。素材をあまり加工せず出すことが多く、アラカルトが充実した店も多い。

ただしドレスコードがあるなど格式ばったところもあるので、事前確認は必要。大声を出しづらい雰囲気の店もあるので、大人数の会食には向かないようだ。

シェフによって得意な料理が違うので、「どこどこのシェフの得意料理を堪能する会」、フランス料理も年代によって流行りのもの、調理方法が違うので、たとえば「1870年代に流行っていた料理を食べる会」など、いろいろな趣向の食事会を企画すると、みなさんに喜んでもらえるのではないでしょうか。(146〜147ページより)

気軽に楽しめてコスパがいい 中華

野菜、肉、魚、麺類、ご飯類、といろいろ食べられ、気楽で大人数でも楽しめるのが中華。値段も手ごろな店が多く、コスパもいい。比較的、短時間で料理が出されるので、ランチなど短い時間の会食にも向いている。

だが大皿で出される場合は取り分けに時間がかかり、会話も中断するかもしれない。また、油っこいため敬遠する人がいる可能性もある。

中華は、回転式の「丸テーブル」が会食に非常に使い勝手がいいです。

隣の人だけではなく、斜め前の人などみんなと話せて和やかに食事ができます。議論に使う場合、参加者全員の顔が見られるため、話し合いが活発になります。

また大皿料理から小皿に取り分けて食べるので、自分のペースで食べることができます。(148ページより)

「会食の難易度が高い店」とは?

このように和洋中にもそれぞれメリットやデメリットがあるわけだが、料理のジャンルはどうであれ「会食の難易度が高い店」もあると著者は指摘している。焼き肉、鍋、寿司、天ぷらなどだ。

たしかに焼き肉や鍋は初対面の人、あまり親しくない人と利用することには抵抗があるかもしれない。また寿司と天ぷらは、つくりたて、揚げたてをすぐに食べることが肝心でもある。

出されたものに手を付けずにゆっくりしゃべっていたら一番おいしいところを逃してしまうし、大将、職人にも申し訳ないです。そういう意味でこれらの店には「会話がメイン」というより「食べることをメイン」として行くのがいいように思います。

というより、以上に挙げた店はすべて「話をメインにする会食」としては少々難易度が高いというだけで、その料理を目的として食べに行ったり、親しい人と合意のうえで食べに行ったりするのはまったく問題ありません。(149ページより)

つまり前述のとおり、「目的」がどんなものであるかを意識することが大切なのだろう。

もしかしたら最初は、「いちいち考えるのが面倒」だと思われるかもしれない。だが慣れてしまえば、「目的に応じた店選び」もまた楽しみのひとつになるはず。

参加者のタイプや好みをイメージしながら適切な店を選ぶところから、「食事の戦略」が始まるともいえそうだ。

印南 敦史:作家、書評家

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