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それでも日本人が「クリスマスケーキ」が好きな訳 ショートケーキには昭和の日本が詰まっている

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 9時20分

クリスマスケーキは創業時から販売しており、初期はドライフルーツが入ったケーキに砂糖と水で作るフォンダンクリームをかける、イギリス風のケーキだった。

イチゴショートの形が主流になったのは1967年ごろ以降。『日本の果物はすごい』(竹下大学)によると、日本では1951年から農業現場にビニールハウスが登場し、1960年頃から促成栽培されたイチゴが、クリスマスシーズンに出荷できるようになっていた。

2015年12月22日付のITメディア ビジネスオンラインの「なぜクリスマスに『苺と生クリームのケーキ』を食べるようになったのか」によると、生産者側が「冬にもイチゴを食べよう」と張ったキャンペーンにケーキ業界が乗ったことで、イチゴのトッピングが定着した。

さらに1962年、5℃まで冷やせる冷蔵ショーケースが登場。家庭にも冷蔵庫が普及していく時代で、ケーキを買ってきて家で冷やしておき、ご馳走の後などに食べる家庭が増えていく。

高度経済成長期は、戦争で多くの肉親を失った記憶がまだ新しい時期だった。家族で集まることが何より大切だったのかもしれないし、中流の核家族が一気に主流となった中で、美しく飾りつけられたケーキを家族でシェアするクリスマスは、新しい時代にふさわしい祭りだったかもしれない。子どもの誕生会のメインディッシュが、寿司から洋食へ転換する時代でもある。

会社勤めをする男性が急増した時期でもある。成長著しい企業は、男性社員の定着を促すために福利厚生にも力を入れた。その一環として、クリスマスケーキを配布した企業もある。その習慣は定着し、今でも従業員にクリスマスケーキを配る会社は多いようだ。

クリスマスを口実に集まって祝う

欧米におけるクリスマスは、古くからある冬至の祭りと結びついたと言われる。今年の冬至は12月21日。日ごとに寒さが増し、日の短さがピークに達し、人恋しくなりがちな時期。赤や緑の華やかな飾りつけは、寂しくなりがちな人々の心を温めるアイテムとしても、受け入れられたのではないか。祝うことを口実に集まり、ごちそうを食べ、ふだん買わないホールケーキで締めくくる。そして正月を迎える。

繁華街では、12月25日の夜にクリスマスの飾りつけを取り払い、正月用に切り替える。翌日からは、雅楽が流され、おせち食材の大販売会が始まる。その切り替え自体が、すでに歳末の風景として定着している。

前述の通り、日本ではクリスマスはイチゴのショートケーキが定番となっているが、そのイチゴが今年は夏の猛暑の影響で品薄となっているほか、その他のコストも増大している。

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