ヤマトと日本郵便「令和の大同団結」が泥沼化 「こねこ便」も火種に、日本郵便は訴訟の準備中
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 7時30分
こんなはずじゃなかった――。
【写真】日本郵便が言及した「こねこ便420」はレターパックライトより10円安い
昨年6月、物流サービスにおける本格的な協業を発表した日本郵政グループとヤマトホールディングス。熾烈な荷物争奪戦を繰り広げてきた両社の協業は、大手も一段の効率化が必要なことを再認識させる歴史的な出来事だった。
しかし、足元では両社の不和が表面化している。ヤマトのメール便や小型荷物の投函商品の配達を日本郵便に委託することが提携の根幹だが、そこでトラブルが生じているのだ。
日本郵便側は現在、ヤマトに対して訴訟の準備を進め、ヤマトは訴状の到着を待つ状態だ。物流業界は人手不足に端を発する、荷物を運べなくなるリスクや業務の効率化、さらには環境問題などへの対策が待ったなし。業界の行く末を左右する提携だけに、なんとも残念な事態になっている。
なぜもめているのか
ヤマトは11月、小型荷物を配達先のポストに投函する「クロネコゆうパケット」(日本郵便の配送網で配達)について、従来の「ネコポス」から完全移行するスケジュールの見直しを日本郵便に要請した。委託は2025年2月に完了する予定(ヤマトは3月と主張)で、すでに東京以外は委託が完了している。
ヤマトがクロネコゆうパケットへの移管を問題視した理由は「従前より配達までの日数が伸びてしまう事態が発生している」(12月19日発表リリース)ため。
一方、日本郵便側は「ヤマト側が集荷した荷物を郵便局に持ち込むため、配達スピードが遅くなることは当初から合意している。予定通りにいければと思っている」(日本郵政の増田寛也社長)としている。
一部では「ヤマトが配達委託をすべて停止することを打診した」との報道もあったが、これは事実と異なるようだ。ヤマトは公式に否定し、日本郵便も「詳細は避けるが、担当者レベルで協議している」(担当者)としている。
今回のトラブルの経緯を紐解いていくと、そもそもの合意内容やオペレーションについての認識のズレ、見通しの誤算があったようだ。
両社の乖離は、メール便の移行時から生じていたようだ。ヤマトの「クロネコDM便」は2024年1月に終了し「クロネコゆうメール」としてサービスを開始している。
移管にあたって、ヤマトの荷物は日本郵便側の仕様に合わせることになり、受けられない荷物が増えた。ここで日本郵便に流れた顧客が多かったようだ。メール便の数量は移管のタイミングで激減していたという。
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