ヤマトと日本郵便「令和の大同団結」が泥沼化 「こねこ便」も火種に、日本郵便は訴訟の準備中
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 7時30分
クロネコゆうパケットについても、委託によってネコポスより配達日数が伸びて品質が下がるため、より配達が早い日本郵便のゆうパケットへ顧客が流れた。両社で納期を短縮すべく改善を急いだが、うまく進まなかったという。
この点、日本郵便は「10月から納期を短縮する取り組みを始め準備していたが、ヤマトからの荷物がほとんどなかった」(担当者)と説明する。
「こねこ便」の波紋
メール便が大幅に減り、ネコポスも顧客流出が続く。ヤマトからすれば「東京を移管したら荷物がなくなる」状態だ。そこで今回の申し入れに至ったという事情だった。
移管によってサービス内容が変化するのは当然のことだろう。しかし、顧客の離反はヤマトにとって想定以上だった。この点は合意の内容や見通し自体が甘かったといえる。
そのほかも、両社の動きにはちぐはぐな感が否めない。
ヤマトは8月、専用資材を事前購入し、全国一律420円で送れる「こねこ便420」を発売。提携相手である日本郵便の「レターパックライト」と近い仕様で10円安い。しかも、事前に日本郵便と協議して発売したものではなかったという。
日本郵政の増田社長は、12月18日の定例会見で「こねこ便の件も含めて、こういう問題が起きたからにはヤマトとよく協議すればいいと思う。乗り越えていかなくてはならない」と方針を語った。
増田社長は会見で何度も「大義」という言葉を繰り返し、「社会的な要請に応えていく。大手で協業の精神を出していかないとならない」とも言及していた。その反面、ヤマトに対して訴訟の準備を進めていることには疑問符が付く。
物流業界は長年、荷物争奪戦と安値競争を繰り広げてきた。大手同士の全面的な提携は、そんな悪循環を変える重要な意義があったはずだ。
大手同士の提携や業務の移管にトラブルはつきもの。いま一度、昨年の会見時に立ち返り、両社とも冷静に提携を進めるべきだ。
田邉 佳介:東洋経済 記者
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