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日本企業は「中国の素早さ」についていけるか? 2025年SDV投入ラッシュも油断ならない緊迫感

東洋経済オンライン / 2024年12月21日 10時30分

一汽トヨタやBYDトヨタなど、トヨタの中国合弁企業とトヨタ知能電動車研究開発センターが共同開発した「bZ3C」は、BYDのEV「宋(ソン)L」と競合する可能性もあるだろう。今後、中国ブランドの兄弟車が値下げすると、日系EVの販売に影響を与えると予測される。

3つ目は、競争力を持つサプライチェーンの構築だ。中国企業の技術や部品を活用して生産された日系EVは、電池やシステムユニットの調達にコストがかかるため、中国ブランド車に対して高いコストパフォーマンスを実現しづらい。

特別な価値や体験を提供できなければ、エンジン車市場で構築したブランド力だけでは、販売増につながらない可能性もある。

またEV部品の開発が求められる日系サプライヤーは、中国市場のスピード感を感じてはいるものの、開発リソースが不足するため、迅速な対応はできていない状況だ。

ハードウェアとソフトウェアの両面で競争力を持つサプライチェーンの構築も、日系メーカーに欠かせないものとなるだろう。

変化の速い中国のニーズについていけるか?

中国企業は、EV販売の減速を意識してしても、決して知能化開発の手綱を緩めてはいない。

特に新興企業やテック企業は、従来の伝統やカルチャーを前提としたミドルエンド・ハイエンド車のあり方を否定し、通信・AI・コネクテッド技術による新たな乗車体験で、日系を含むグローバルメーカーと勝負することを図っている。

たしかに、開発期間の短縮によって、品質を落としたメーカーもなくはない。内装や装備は豪華に見えても、見えない部分の部材を安価なものにすり替えたり、開発・製造のプロセスの手を抜いたりする例もある。

この先、技術力の弱いEVメーカーは熾烈な消耗戦を強いられ、淘汰が加速し、強い者がますます強くなる現象が顕在化していくはずだ。

日系メーカーが中国市場で勝機を見出すためには、優位性を持つHEV(ハイブリッド車)のコストダウンを通じて、縮小するエンジン車市場で一定のシェアを獲得することと、中国勢に遜色ないスマートコックピットや自動運転補助機能を持続的に投入できるノウハウを模索する必要があるだろう。

そのためには、現地への権限移譲や中国人トップの登用など、経営の現地化に取り組み、現地主導でのSDV開発や、日系・中国系サプライヤーとの連携を通じて、中国市場のニーズを素早くとらえる設計・生産体制の構築を図るべきだ。

【写真】スマートコクピットにも注目したい日系メーカーの中国専用車(40枚)

湯 進:みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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