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老舗バレエ団が動画配信、華やかさの裏の"現実" ロシア帰りのバレリーナが厳しい国内事情を告白

東洋経済オンライン / 2024年12月21日 11時30分

「焦げてるけど、味は大丈夫です」

華やかなバレエの経歴とは裏腹に、喋り方はおっとりとしていてマイペース。スコーンが焦げた原因はアリスさんのそういう性質にあるのかも、と頭の中で考えながら、彼女から差し出された焦げたスコーンをひと口いただいた。

「美味しいです」

黒い部分が半分を占めるスコーンを食べながら、アリスさんの経歴についてもう少し詳しく聞いてみることにした。

「バレエを始めたのは何歳の時ですか?」

「5歳の時です。最初はお母さんに無理やり連れて行かれて」

自分の意思とは関係ないバレエのスタート。これは珍しいことではないらしく、後々他のバレリーナたちに話を聞いた時も、親御さん主導で3〜5歳くらいでバレエを始めていることが多かった。

「バレエを続けるには親御さんの支援なしにはありえません」

髙部先生の言葉が頭をよぎる。

これは、全員に当てはまることではないと思うが、「子どもにバレエを習わせていること」を「自分の家は経済的に豊かである」という証明に使う人もいると他のバレエダンサーが言っていた。

ブランド物のバッグを買って持ち歩くように、子どもにバレエを習わせているということだ。日本人らしい話だなと思いつつ、それだけお金がかかるということかと理解できた。

ロシアの名門バレエ学校へ

最初は親に無理やり連れて行かれたバレエだったが、徐々にその楽しさに気づき始めた。特にロシアバレエのとりこになったという。その愛はかなりのもので、ザハロワというロシアの有名バレリーナの名前を、そっくりそのまま愛犬につけるほどだ。

16歳の時にコンクールで結果を出し、念願かなって、ロシアの名門バレエ学校・ワガノワ・バレエ・アカデミーに奨学金をもらい留学することとなった。

ちなみにこのワガノワ・バレエ・アカデミーに、現地のロシア人が入ろうと思ったら、超厳格な身体検査があるという。そもそもバレリーナに適した骨格なのか、本人はもちろん、親御さんや親戚の遺伝的な情報まで徹底的に調べあげ、生まれながらの超エリートだけが入学を許されるそう。

入学後も全員が進級できるということはなく、最終的に卒業できるのは3分の1ほど。そんなバレエ猛者たちと一緒に練習をするのだから、上手くならないわけはなく、卒業後はロシアのバレエ団にプロとして入団が決まった。

谷桃子バレエ団を選んだ"意外な"理由

そんなすごい経歴のアリスさんが次のキャリアとして、なぜ谷桃子バレエ団を選んだのか。

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