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「機械に介護されたい」89歳のIT強者が描く"老後" シニアは「0から1を創る」ことを生きがいにしよう

東洋経済オンライン / 2024年12月23日 9時0分

介護はなるべく機械に頼ったほうがいい

「私は介護が必要になったら、ロボットにお世話されたい」

若宮さんは電子国家デンマークを訪れて、AIやロボット技術を導入した介護現場を見学するたびに、そう思うようになったという。

介護に対する発想からして、日本とはまったく違う。

「お義父様もお義母様も介護して、今度はご主人の介護をしているんですね。あなたは偉いわね」。これは日本。デンマークは要介護者を抱きかかえて移動させようものなら、「そんなことしたらダメ! 腰をやられて、あなたがじきに要介護になっちゃうわよ」である。

「デンマークでは介護はなるべく機械に頼りなさいという考え方が徹底していて、要介護者が自立して暮らせるために優れた介護ロボットや機械が開発されています。立位の姿勢をサポートする機能を加えた車いすは、1人暮らしの人でも立ち上がって棚からモノを取ることも可能にします。住宅もユニバーサルデザインを取り入れた造りになっているので、老いても子に従わずに自立して生活できるようになっています」

家電も同様で、洗濯機は車いすユーザーも洗濯ものを出し入れできる。一方、日本の洗濯機は健常者仕様のため、車いすユーザーだと洗い終わった洗濯物を取り出すのは難しい。

「これも洗濯物の取り出し口をリモコンで開閉できるようにすれば解決できることです。寝たきりの人も自分勝手にテレビを観たい。だったら天井からテレビをぶら下げてリモコンで操作できるようにすれば、人手を借りずに済みます。要介護になっても自分でできる環境を周囲の人たちが作っていくことで、介護者と要介護者の双方が楽になる。介護こそ、積極的にIT化を進めるべき領域だと思います」

それに加えて、ITと介護の両方に詳しく、介護に役立つIT機器のセレクトや初期設定、使い方を指導できる“介護情報士”的な介護士や、家庭用介護ロボットを手頃な料金でリースできるサービスなど、「モノ・人・サービスを連動させること」が重要だと若宮さんは話す。

それによって、要介護になっても住み慣れた自宅で暮らし続けることが可能になる。

さて、身体介助をしてもらうとしたら介護ロボットか、人間の介護か? 若宮さんが介護ロボットを選ぶ理由は、気兼ねしなくていいからだとか。

「手の握力が低下して食事のときに食べこぼしても、ロボットはうんざりすることもなく、文字通り機械的に片づけをしてくれます。これは高齢者の精神衛生上、とてもいいことです(笑)」

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