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無印良品「地域土着化」で変容した売れ筋の中身 2021年に第2創業、客層が広がり最高益を更新

東洋経済オンライン / 2024年12月23日 8時20分

無印の福缶は年号に合わせて価格も1円ずつ増え、「2025福缶」の販売価格は2025円(ギフトカードも同額分)。すでにネットでの応募期間は終了しており、当選者は指定した希望店舗で1月1日や1月2日以降(入店する施設の営業日による)に購入する。

「今回、中に入る縁起物は38種類。大きさはさまざまですが、日本各地の作家さんや工房が一つひとつ手づくりした品です。干支にちなんだ品もあれば、郷土玩具のように地域で昔から親しまれてきた品もご用意しています」(生活雑貨部)

他社の多くは福袋だが、なぜ「福缶」なのか。

「地域に密着」の象徴に

「お正月ならではの開封する楽しみもあり、中身の縁起物がデリケートな品のため、缶は商品の保護としてもふさわしいのです」(生活雑貨部)

開発のスタートは2010年にまでさかのぼる。

「もともと2010年冬に『缶を使用した商品をつくれないか』という話が社内で持ち上がりました。それが縁起物を入れた福缶になったのは、翌年に起きた東日本大震災がきっかけです。震災復興の東北を応援したいという想いから、青森県・岩手県・宮城県・福島県の縁起物14種類を缶に詰めて2012年のお正月に販売したのがスタートです」(同)

十数年続けて縁起物の数も14種類(2012年)から今期は38種類(2025年)に増え、累計としては300種類以上を扱った。地域にも変化が起きた。歴代の担当者は、各地の作家や工房にも足を運んで対話するという。

「福缶をきっかけにネットワークが広がり、他の作家さんや工房、地域との交流ができたという声もいただいています。全国の無印良品で不定期に開催している『つながる市』に作家さんが参加されるのもそのひとつです」(同)

同社が掲げた「地域への土着化」の象徴にもなった。

高井 尚之:経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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