「トランプ2.0」は吉か凶か、2025年の経済を読む FRBがトランプ氏の政策に翻弄されるのは必至
東洋経済オンライン / 2024年12月23日 7時30分
分断・多極化する世界で、新しい視界を開くことができるか。日本が向かうべき道とは――。『週刊東洋経済』2024年12月28日・2025年1月4日合併特大号の第1特集は「2025年大予測」だ。株式・マネーから日本の政治経済、世界情勢、産業・企業動向、そしてスポーツ・エンタメまで。2025年の注目テーマを徹底解説する。
アメリカのトランプ次期政権の経済政策は関税強化、移民規制、大幅減税と多くがインフレ的だ。減税は総需要を刺激し、関税強化や移民規制は総供給を制約するから、需給逼迫でインフレを助長する。
下図にあるとおり、確かに現在のアメリカの失業率は歴史的に低く完全雇用に近い。そのため、インフレ再燃リスクは無視しえない。
一方、移民規制や関税強化が資源配分を歪めれば、生産性上昇率や潜在成長率を低下させるリスクがある。また、大幅な関税強化が総需要に悪影響を与えかねない。
単純ではない政策効果
はたして2025年の世界経済は、アメリカを中心にインフレと景気悪化が共存するスタグフレーションに陥るのだろうか。
トランピズムがうたうのは、高学歴のエリート層による移民政策やグローバリゼーションで困窮化した低中所得層の救済だ。国境管理、経済ナショナリズム、米国第一の外交政策の3つで構成される。
移民規制は国境管理に対応する。バイデン政権の移民規制緩和が賃金インフレの低下につながったから、規制強化は賃金インフレを再燃させると懸念する人は多い。
ただ次期政権の主眼は、不法移民流入による低中所得者の賃下げ圧力を取り除くことだ。目的は低中技能労働者から不法移民活用で利益を享受する企業への所得移転の遮断にあり、生産性上昇率を悪化させることにもならないはずだ。
関税強化は経済ナショナリズムに対応
関税強化は経済ナショナリズムに対応する。目的は2つ。1つは製造業の国外移転で失われた中間的な賃金の仕事の国内回帰だ。もう1つは成長分野の育成である。実は、アメリカには建国から第2次世界大戦終結まで関税を原資に国内産業を育成してきた長い歴史がある。建国時のアレグザンダー・ハミルトンを嚆矢(こうし)とする介入政策がアメリカを英国に次ぐ工業国とした。
それを手本にしたのが、ドイツのフリードリヒ・リストの幼稚産業保護論であり、19世紀後半にドイツの急速な工業化を後押しした。明治維新後の日本や20世紀末の中国の高成長のモデルにもなった。
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