M-1創設者がバッテリィズに泣きそうになった理由 理論派が目立ってきたM-1に2人が与えたこと
東洋経済オンライン / 2024年12月23日 18時38分
令和ロマンが史上初の2連覇を果たした「M-1グランプリ2024」。今回で20回目となったこのコンテストは、かつて人気が下火だった漫才を盛り上げるために元吉本興業の谷良一氏がゼロから立ち上げた経緯がある。書籍『M-1はじめました。』で当時の舞台裏を明かした谷氏は、今回のM-1をどう見たのか――。
M-1敗者復活戦に対する疑問
今年も去年に続いてM-1の観戦記を書かせていただく。ひと言で言うと、めちゃめちゃおもしろかった。これに尽きる。
【M-1の歴代優勝者リスト】近年は“理論派”が目立ってきた?
まず敗者復活戦から。今年から室内でやることになった。2002年に敗者復活をはじめたとき、本来は負けたら終わりのM–1で、もう一度チャンスを与えられるのだから正規に勝ち上がった者と徹底的に差を付けようと思った。そうでないと、勝者にメリットがない。
なので大阪から深夜バスは出すけれども、新幹線も、泊まるホテルも何も出しませんよとした。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」と一緒でこの糸を見事に這い上がってきた者にはチャンスを与えるという意味だ。
なので寒風吹きすさぶ中、たとえタンクトップと短パンという衣装であってもそのままやらせた。敗者復活戦を始めた2002年には小雪が降ってきてぼくはほくそえんだ。
その結果、寒空の中で競い合ったからこそ生まれた連帯感みたいなものが出演者、観客に生まれ、選ばれた者をみんなが応援するという感動があった。
でも今はそんな時代でないのかもしれない。暖かい会場で思う存分力を発揮してくださいという時代なのだ。
ただ、審査方法には少々疑問を感じた。1組目から順番に勝ち抜きをしていくのだが、これは圧倒的に後攻有利だ。その証拠にA組は後攻の5勝1敗だった。前の組のネタの印象はどんどん薄れていく。その都度点数を付けて、最後に発表というスタイルではダメなのか。
オープニングの島田紳助さんのことば
さて決勝である。オープニングは1年目の中川家から過去19回のチャンピオンの映像、ここでもう泣きそうになる。そのあとは今年の10330組の予選映像。
2回戦「1721/10330」、3回戦「408/10330」、準々決勝「132/10330」、準決勝「31/10330」――。Good!
朝日放送は毎年この盛り上げがとてもうまい。予選取材にかけた人数、時間、編集、そして愛はすごいものだと思う。
そして、「いつまでもM–1が夢の入り口でありますように」という島田紳助さんのことばが流れる。厳しさの根底にこれがある。
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