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あなたの中に眠る「使える短所」と「使えない長所」 「長所がない」と嘆く前にやるべきことがある

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 11時30分

そんなとき「〇〇なら〇〇さんに任せよう」と言ってもらえるだけの立ち位置を自分がいる環境のなかで確立できたら、もう十分です。相談を持ち掛けられて自分なりの答えが返せる存在になれば、「〇〇ができる人」として頼られますし、あなたの居場所ができるのです。

そうした環境にいると、自分の「短所」だって気になりません。

「苦手なことはたくさんあるけど、得意なこともあるから、まあいいか」と割り切れるようになります。長所も短所もそのままに、自分を愛せるようになります。「私なんて」と卑下する必要は、どこにもないのです。

そもそも、長所も短所も、あなたの大切な個性の一部です。そして、あらゆる個性が、誰かの役に立つ長所になりえるのが、諸法無我の世界とも言えます。

ある人から、こんな話を聞いたことがあります。

「自分は、人に会わずひとりで部屋にこもっているのが苦にならない。若い頃は、社交性がないのは短所だ、直さないといけないと思って、悩んでいました」

しかし、あるとき「自分はこれでいく」と開き直ったそうで、今は本を書く仕事をされています。「原稿の締め切りに間に合わせるために、一週間以上自宅で”カンヅメ”になっていても平気」だそうです。

「そんな生活は退屈で耐えられない!」という人もたくさんいると思います。しかし、だからこそできる仕事もあるわけで、そうであるならば「ひとりでいるのが好き」なことも立派な長所と言うべきでしょう。

つまり、あなたの個性が長所として輝くかどうかは、環境で決まる部分が大きいのです。前述の「ひとりでいるのが好き」な人も、チームワークが求められる環境ではずいぶん肩身の狭い思いをするかもしれません。 

あなたの短所が誰かを光らせている

誰かと出会い、役立つ道が見えてこそ個性は長所になるのです。個性豊かなさまざまな人と出会うなかで、あなたの長所は磨かれていきます。

ですからどうか、人と交わる場所に出ていくことを、恐れないでください。あなたの長所が輝く機会は、そこにあるからです。多くの人と助け合い、支え合う関係が築けたら、もう何も心配することはありません。

それは、自分の長所のみならず、短所の使い道が見えてくるからでもあります。あなたの短所は、誰かの長所が発揮される機会をつくることでしょう。

どんなに優秀とされる人でも、全方位に優れているかというと、そんなことはありません。どんな人にも長所と短所があり、あなたにも長所と短所がある。そんな人たちのなかに、臆さず身を投じることです。

苦手なことがあれば、苦手だから助けてほしいと、声をあげましょう。それだけで心は楽になり、助けてくれる人も現れます。逆に、助けてほしいと声をあげている人がいたら、自分も迷わず手を差し伸べましょう。

長所も短所も、どちらも人の役に立っている。その事実に気づけたら、もう大丈夫。こんな自分も悪くないじゃないかと、心から思えてくるのです。

枡野 俊明:「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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