「スタバでMacドヤァ」実はもう絶滅危惧種なワケ むしろ「禁煙」を求めて足を運ぶ人が多い?
東洋経済オンライン / 2024年12月24日 8時50分
こうした、価格やメニューといった「環境」的な部分で「静かなる客層の選択」を行っているのがスタバで、その戦略が(特に日本では)うまく進んでいることが、いまだに多くの人が「スタバとMac」の結び付きをイメージとして持っていることに表れている。
「スタバってこうだよね」という確固たるイメージがあり続けているのだ。
一方で、SNSを見たり、知人に話を聞いたりしていると、「完全禁煙だからスタバに行くんですよね」なんて声も多い。
確かに、私自身もタバコは全く吸わないが、完全分煙を謳っている場所でも、席によってはタバコの煙が降りかかってくる場合があるから、スタバはそうした非喫煙者にとって単に「実用的」だから利用されている、という側面もありそうだ。
しかし、実はこの「完全禁煙」もまた、スタバの客層を環境的に「静かに選択」している。
そもそも、日本のコーヒーチェーンで完全禁煙が採用されるのは異例のことだった。というのも、スタバが進出した1990年代中盤、日本での喫煙率は男性が58%と高く、特に他の店では喫煙できることが当たり前だったこともあって、そのハードルは高かったからだ。
しかし、スタバの実質的な創業者であるハワード・シュルツが「コーヒーの香り」にこだわり、その香りを消すタバコを嫌ったことがあって、異例とも言える完全禁煙が決定された。
そしてこの時の決断が、スタバの「客層の選択」に貢献することになった。
というのも、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によれば、喫煙率と所得の低さには相関関係があることがわかっているからだ。これにはさまざまな理由が考えられるが、ここではその議論を深追いはしない。しかし、いずれにしても、スタバの店内が「完全禁煙」であることからは、そこに集まる人の所得が比較的高い、という推測が成り立つ。スタバが掲げる「安売りしない」的な方向性とマッチしているわけだ。
もちろん、喫煙者もスタバ店内に入ろうと思えば入ることはできる。しかし、もし近くに喫煙可能なカフェがあればそちらに流れることは十分に考えられるだろう。その意味でも、この「完全禁煙」は、スタバの「静かな選択」を本当の意味で「ひっそりと」成し遂げているのだ。
加えて昨今では、喫煙所が減少し続けている。「スタバで休憩しつつ、近くにある喫煙所で一服し、また戻って来る」という行為のハードルも上がっているだろう。
こうした「店舗環境」に働きかける取り組みや、外部環境の変化の影響もあって、スタバはそのブランディングを強く保ち続けているのだ。
とはいえ、スタバもブランディングには苦慮している
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