JR東海道線の通勤特急「湘南」はどこをどう走る? 馴染み薄い貨物線から見たもう一つの東海道線
東洋経済オンライン / 2024年12月24日 6時30分
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2025年2月号「東京圏の新しい縦貫路線と貨物列車」を再構成した記事を掲載します。
朝の通勤電車を邪魔しないための貨物線運転
小田原から東京へ特急「湘南6号」に乗車した。小田原6時47分発で、以前の「湘南ライナー」を特急に統合(2021年)した列車だから、朝夕の通勤主方向の運転となる。東海道線ライナーの登場は国鉄当時の1986年で、その後は2002年まで一貫して数を増やしてきた。しかし朝ラッシュ時は一般通勤電車がひしめき、それと干渉することなく運転するため、ライナー時代から多くを貨物線経由としてきた。朝ほど窮屈なダイヤではない夕夜間は新宿発を除いて貨物線経由はない。そのため、明るい車窓を見ながらの貨物線乗車なら朝の上りとなる。
【写真を見る】東海道貨物線経由で内陸の横浜羽沢から鶴見へと抜け出た上り「湘南」。戸塚で山側に逸れたのに鶴見は海側から東海道線や京浜東北線を見る驚きは貨物線走行ならでは
早朝の小田原駅に立つと、先発の新宿行き22号が出たタイミングで6号が入線し、その6号が出る直前に8号が入る密度の濃さだ。しかし発車時は回送同然の様子だった。
発車するとすぐに貨物線に入った。下り線には貨物線が旅客線を乗り越す立体交差があり、これにより山側が貨物線、海側が旅客線の線路別複々線のまとまりとなる。鴨宮を過ぎるとさっそく籠原行きを追い上げ、国府津停車で減速するところを追い抜いた。当然ながら“純正”貨物線に旅客ホームはない。続いて二宮の先で小金井行きを抜く。やはり時速120kmに迫る速度で突っ走る特急は速い。
東海道線では、湘南新宿ラインのE231系統一前は旅客線の最高速度は時速110kmで、ライナーを高速で走らせたいとの意図から、貨物線を先に時速120km化(大船―小田原間)していた。普通列車の用には供さないが、通過前提の列車用として活用する。その点の使い方が東北・山手貨物線や品鶴線と異なる。結局、戸塚を過ぎて旅客線から離れるまでに6本を追い抜いた。
始発駅以外の着席需要を汲む茅ヶ崎・藤沢停車
一方、この間に茅ヶ崎と藤沢に停車した。両駅にはライナーを停車させるために貨物線上にホームが設置されている(藤沢1993年12月、茅ヶ崎1994年12月)。この両駅停車で7割程度まで乗車率が高まる。小田原は始発電車が数多く遠距離ゆえの選択肢としては新幹線もある。だからあえて「湘南」に乗る人は少ない。逆に、始発がない途中駅で俄然ニーズが高いわけだ。主要折り返し駅の平塚、横須賀線始発や京浜東北線がある大船も、貨物線にホームはない。
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