「さい銭箱にスマホ決済」で参拝風景が変わる将来 金融庁が「電子マネーの利用解禁」に向け準備中
東洋経済オンライン / 2024年12月24日 8時0分
東京都港区にある浄土宗大本山増上寺が12月下旬からさい銭にPayPayでの支払いを導入。12月末までに7つの神社仏閣がさい銭の奉納手段としてPayPayの導入を予定しているが、いずれも資金移動業のアカウントである「PayPayマネー」の残高からしか支払えない仕組みになっている(記者撮影)
さい銭箱に硬貨や紙幣を投げ入れて、家内安全や学業成就などを祈願する――。この神社仏閣での参拝風景を大きく変えうる議論が、金融庁で進んでいる。
金融庁が9月から開催している金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ(決済WG)」。一般に電子マネーと呼ばれる「前払い式支払い手段」をさい銭などの寄付にも利用できるようにする規制緩和を、近く取りまとめる提言の中に盛り込む。金融庁は来年、制度改正に向けて法令の見直しを進める。
現行法上、前払い式支払い手段に該当するJR東日本の「Suica」やイオングループの「WAON」などの電子マネーは、商品や役務(サービス)の対価の支払いに使用することが前提となっている。そのため商品や役務を伴わず無償で金銭を提供する寄付では、用いることができない。
寄付を目的とした資金移転は「為替取引」に該当し、銀行や資金移動業者にしか認められていない。
だが、フィンテック協会が今年3月に公表した規制改革要望などを受けて、金融庁の決済WGは規制の見直しに向けた議論を開始。12月9日の会合で一部議題について取りまとめの骨子を提示し、電子マネーの寄付利用を一部認める方針が示された。
ややこしい法制度
過去には、都内の神社がさい銭に電子マネーを採用したことが話題になった。しかし、さい銭は寄付に該当するため資金決済法に違反していた恐れがある。この神社ではすでに電子マネーの利用を中止している。
一方、神田明神(東京都千代田区)では、みずほ銀行が提供するスマホ決済サービス「J-Coin Pay」をさい銭の奉納手段として利用している。こちらは銀行のサービスなので、為替取引に該当する寄付にも用いることができる。
スマホ決済の「PayPay」もさい銭の奉納手段として、12月末までに7つの神社仏閣で導入が予定されている。
ただし4つある残高区分のうち利用できるのは資金移動業のアカウントである「PayPayマネー」だけ。もう一つの代表的な残高である「PayPayマネーライト」は前払い式支払い手段であることから、現状ではこの残高をさい銭に利用することはできない。
類似のスマホ決済であっても、依拠する法制度の違いにより、寄付に利用できるものもあれば、できないものもある。利用者からすると非常にわかりづらいのが実態だ。
日本でもキャッシュレス決済比率が39.3%(2023年実績)にまで高まり、スマホ決済を日頃の支払い手段として利用している人が増えている。
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