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「さい銭箱にスマホ決済」で参拝風景が変わる将来 金融庁が「電子マネーの利用解禁」に向け準備中

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 8時0分

フィンテック協会の沖田貴史会長(ナッジ代表)は「同じスマホ決済なのに前払い式支払い手段の電子マネーがさい銭や寄付になぜ利用できないのか、ほとんどの人がわからないはず。ユーザーペインを感じている人も多い」とし、規制の見直しの必要性を指摘する。

さらに、「外国人観光客が神社仏閣を訪問する際、交通系電子マネーなどを利用するシーンも考えられる」とし、増加するインバウンド対応にも資すると話す。

前払い式支払い手段に該当する電子マネーは換金できないため、使い切れなかった残高がムダになるケースも少なくない。そうした電子マネーが寄付に活用されることで、公益の推進につながることも期待される。

神社仏閣の悩み解消にも一役

利用者だけではなく、さい銭箱を置く神社仏閣にとっても、電子マネーの利用解禁は大きな意味を持つ。その1つが、硬貨の入金コストの削減だ。

金融緩和が深まる2020年ごろから、ほとんどの銀行が窓口やATMでの硬貨入金に手数料を課すようになった。大手銀行の中で最後まで無料化を維持していたゆうちょ銀行も2022年1月に有料化に踏み切った。

銀行にとって硬貨の取り扱いは、手間がかかる代表的な支店業務の一つ。金利が復活し銀行の収益環境は大きく変わり始めたが、「適正な手数料の観点から硬貨の入金を再び無料化することはないだろう」(大手行幹部)。

神社仏閣は5円や10円などの少額硬貨を多く取り扱う。手数料負担は意外と無視できない大きさだろう。

また、近年は外国人観光客の参拝者が増えている。日本円の硬貨ではなく外貨の硬貨が投げ入れられるケースが著しく増加しているが、「紙幣でなければ日本円に両替できないため、そのまま保管している状態」(増上寺)だという。電子マネーの解禁はこうした課題の解消策にもなる。

頭を悩ませるさい銭泥棒への対策や、参拝者のスリ被害防止などにも資する可能性がある。全国8万超の神社を包括する神社本庁は「(加盟店)手数料が引かれることをはじめとする各種の課題は残るが、寄付での電子マネー利用が解禁されることについては前向きに受け止めている」と話す。

金融庁の決済WGが示した取りまとめの骨子によれば、電子マネーでの寄付金受領者は国・地方公共団体のほか、学校法人や宗教法人などの認可法人などに限定される。

1回当たりの寄付金上限額は1万~2万円程度で検討を進めることにする。コンビニなどで購入できる「○○ギフト」といった「番号通知型前払い式支払い手段」は除外される見通しだ。

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