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深刻化するオーバードーズ、販売見直しで防げるか 薬局やドラッグストアに求められる対応とは?

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 7時30分

今回の改正では理由や氏名などの確認も改めて薬機法で義務付ける。省令ではなく、薬機法そのものに規定を設けることによって、薬局や店舗の対応をさらに厳格化しようとする狙いだ。

全国のドラッグストアが加盟する日本チェーンドラッグストア協会も、厚生労働省が示した案におおむね賛同し、対応の強化を検討している。

協会は今後、独自に加盟店舗向けのガイドラインを策定。濫用が疑われる客が購入しようとした際、特徴や名前のイニシャルを記録して店舗の従業員の間で共有することなどを検討していくという。

対策を進める薬局、「当たり前」の難しさ

制度改正や業界団体のガイドラインの策定を前に、対応を見直した薬局もある。東京・新宿区を中心に約30店舗を展開するクスリの龍生堂薬局は、2024年11月からチェックシートを導入した。

濫用のおそれのある医薬品も含め、すべての医薬品について購入を求められた際には誰が使用するのか、使用する人の年齢はいくつか、複数の購入を希望する場合には特別な理由があるのかなど10項目余りを薬剤師などが確認。濫用が疑われる場合にはその場で販売を拒否している。

さらに20歳未満とみられる若者や、ほかの薬局を利用した客がさらに購入を希望した場合など、身分証明書から名前や年齢を確認してチェックシートに記録。記入したチェックシートは2年間、各店舗で保管する。

クスリの龍生堂薬局はこれまでも、濫用のおそれのある医薬品は小容量、1個の販売を原則として、販売する際には客への説明や確認を徹底してきた。しかし、複数購入しようとする人は後を絶たず、社会的にも大きな問題になってきたことを受け、対応の強化を進めている。

本社の商品本部バイヤーで、大久保店の店長を務める新井紳一郎氏は「医薬品を販売するうえで当たり前の対応をしているだけ」と話すが、対応に苦労した場面もあった。

例えば一度、販売を拒否しても再び来店する客もおり、そのたびに説明や対応をしなくてはならない。中には強引に購入しようとする客もいる。従業員の安全を守るため、店長が対応したり、複数の店員で対応したりするケースもあった。

新井店長は「軽い症状なら市販薬で自分自身で治すセルフメディケーションの考え方が広がったが、その中で間違った使い方をする客も増え、(オーバードーズが)社会問題になっている」と話す。

一方で「自分たちにできるのは客に対して質問することだけ。ほかの店と連携するにしても、個人情報保護の観点からどこまでの情報を共有したらいいのか判断が難しい」(新井店長)と悩みも語る。

適切な支援につなぐ取り組みも道半ば

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