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令和ロマンくるま語る、賞レースと寄席の決定的差 「ネタのクオリティ」よりお客さんとのマッチ度

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 9時30分

まず共有しておきたいこととして、寄席で需要なのは「ネタのクオリティ」より「お客さんとのマッチ度」だということ。初見のお客さんというのは必ずしも好意的ではなく、「本当にお金を払っていただいたんですよね?」と思ってしまうほど敵意剥き出しのときもある。とにかくお客さんの様子を見ることが大事だ。

例えば、客席に子どもが多かったら、その子たちに話しかけると親だけじゃなく周囲の大人たちが100パー和んでちょっとウケる。でもかなりバブバブだった場合、泣いちゃうので触れざるを得ない。そうなるとガッツリコントに入るネタや長いボケは中断のリスクがあるから選ばない。いつ泣いてもいいように警戒しながらポツポツとボケていく。

たまにお子様がギャン泣きしちゃって、流石にいたたまれなくなったお母さんがお子を抱えて出ていく背中を見ると、「何とか泣き止ませてあげたかった……さらばだ……!」という気持ちでいっぱいになる。

ちょっと大きい子、小学校高学年くらいになると、大人をナメ出して「ガチ私語」が増えてくる。これは調整がむずくて多少はいいノイズになる(音が出ている=シーンとしているよりは笑っていい空気になっている)んだけど、看過できないボリュームになったら積極的に元凶に話しかける。そうやって注目されると恥ずかしくなって私語が収まることが多い。授業中こっそり同級生と悪さしたいけど、教室の前に出てやるのは違う、って感じ。

中高生になってくると、個人で来るよりは修学旅行生が大半。より集団意識が高まっているので、みーんなでクスクスしたがる。誰かに話しかけても照れちゃうので、担任の先生をなる早で探してイジらせていただく。いつもありがとうございます。

たまにすごいスポーツ校で、「先生よりも明確に権力を持っている運動部」がズラッと並んでいるときは最難関。運動部が笑わないとみんな笑わない。でも運動部はイジられたくないので話しかけても無視か不機嫌になっちゃう。

唯一の光明は、その運動部様の明確な格下として振る舞い、「なんだこのザコは」と嘲笑されること。大人のプライドを全てかなぐり捨てて、「もう~同じ学校だったら確実にパシられてましたよ~」という態度で踊ることで、他の生徒も安心して見下すことができ、うっすら笑いを取ることができる。ただ全く割に合ってはいない。

反対に歳上の方々、人生の先輩の方々が多めのときもまた難しい。先輩すぎると夢の中にお住いのケースも多く、特に(よしもと)祇園花月では非常に観測しやすい。声を出すことへの恥じらいは少ないので積極的に話しかけに行くことが大事。ただ一度火をつけてしまうと「覚醒」して喋り続けてしまう先輩方もいるので、要注意。そうなったら若者ではなす術がない。

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