「ミスをした部下」の成長を促す"叱り方"のキモ ポイントは「3つのモード」の上手な使い分け
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 7時0分
たとえば、叱るときの判断基準は人それぞれでしょうが、同書では、こんな例が挙げられています。
「あなたが部下をしかるとき、しかる目的はなんですか。どんなときに、なんのために、しかっていますか」
私であれば、この質問には次のように答える。
「ビジネスにおいては明確な目標が設定されています。その目標を達成するために、部下の言動や行動を修正してもらうことが目的です」
あるいは技術部門で働いている人であれば、こんなふうに答える人もいるだろう。
「技術者として一定レベルに達するまでには、最低限身につけなくてはいけないスキルがあります。そのスキルを身につけさせるために、部下が間違った方向に進もうとしているときには、方向修正を図ることを目的にしかります」
遅刻した部下を叱る際の3つのモード
また、伊東氏の言う3つの叱り方というのは、次のような感じです。
たとえば、遅刻した部下を叱るという場面で考えてみよう。
「こんな時間に来て、なにをやっているんだ、おまえは!」というのは怒りモード。
「なぜ遅刻をしたのか、ちゃんと理由を教えてくれるか?」というのは、冷静モード。
「どうしたの? 遅刻するなんて、なにかあったのか?」というのが優しいモードである。
私もやむを得ずスタッフを叱るときは、なぜ叱るのかという理由を明確にした上で、スタッフに寄り添った叱り方をしています。 腹が立ったから叱るのではなく、あくまでスタッフの成長のために叱るからです。
伊東氏の文章を膝を打つような思いで読んで、私の叱り方に対して専門家からお墨付きをもらったような気がして嬉しかったのですが、これらを完全に実践できているかは、スタッフたちに聞いてみないとわかりません。
せめてスタッフたちへの本気の愛情が伝わっているといいのですが……。
私は自分の弱みや本音も敢えて見せてしまいます。たとえば、会議などでも、「うちにとってこれが課題なんだ。正直、私にはできないんだけど、誰かできるかな?」と包み隠さず相談します。
特に、スタッフの誰かが仕事上での悩みを抱え込んでいるのを見つけると、敢えて私から先に「自分はこれができない」と言うようにしています。
「私ができないんだから誰かやれよ」という意図ではありませんよ。スタッフに対して、「できなくて困っている。助けてほしい」と素直に言える場をつくってあげるためです。
スタッフのことは誰よりも見ている。だから……
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著、文藝春秋)というノンフィクション作品があります。その中で、落合監督は中日担当記者だった鈴木氏に、練習中のグラウンドでこう話しかけます。
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