福岡の「おひとり様の終活」に視察が相次ぐ背景 福岡市社協が自分らしい最期のためのサポート
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 10時30分
本人が準備をしないまま病院や在宅で亡くなると、病院や自治体が親族を探し、見つからなければ自治体が火葬する。行政がやむなく火葬した後、実は親族がいたというニュースもたびたびあり、難しい問題となっている。
死後事務事業は契約して終わりではない
福岡市社協の死後事務事業は、契約して終わりではない。契約者にスタッフが定期的に連絡や訪問をして、本人の状況を把握する。判断能力が低下してきたら成年後見制度につなぐなど、状況に応じてサポートを続ける。
「死後事務委任事業は亡くなったときだけの事業というイメージがあるかもしれませんが、契約後に亡くなるまで10年20年と生きている間の支援がかなり大事です。ただ、関係ができると、私たちに家族のような動きを求められることも。例えば、電球交換に来てほしい、手術中に何時間も待機しておいてといったことは、気持ちはよくわかるのですが、こちらも人員が限られているため十分には対応できないところです」(吉田さん)
終活サポートセンターの取り組みは注目を集め、各方面から問い合わせが絶えない。
北海道から沖縄まで全国の社協や行政、議会をはじめ、韓国や台湾など海外からも視察に来られて、今年度の半年間だけで視察や問い合わせは47件にのぼる。福岡市社協のモデルをそのまま、もしくは参考にして導入したところも多い。
現在、吉田さんが課題だと感じているのは、社協は役所への死亡届出人になれず、手続きに手間取って火葬まで時間がかかること。
また、国に死後事務を管轄する部署が存在しないため、契約者が望んだ通りの葬儀をしたのか、委託金や遺産はきちんと相続されたのかなどをチェックする機能がなく、事業者の善意を信じるしかないのが現状だ。
「今年6月に厚労省が初めて『高齢者等終身サポート事業者ガイドライン』を出しており、今後はさらに踏み込んだ法律や制度改正が必要だと思います」と吉田さんは力を込める。
自分らしい最期を迎える支援を続ける
社協については「終活サポートセンターができてから、終活に関して総合的な相談を受けられるようになりました。皆さんの将来への不安を少しでも軽減し、自分らしい最期を迎えるサポートを続けていきたい。今後はさらにICTを活用した高齢者の見守りなどを検討しています」と語る。
時代の流れや地域の状況に応じて、福岡市社協の取り組みはさらに進化していきそうだ。
佐々木 恵美:フリーライター・エディター
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