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宇宙ごみ除去・アストロスケール「下方修正」の背景 株式市場からの評価と期待を両立する難しさ

東洋経済オンライン / 2024年12月25日 8時0分

宇宙ベンチャーのアストロスケールホールディングス。世界で誰も実現していない宇宙ごみの除去サービスの商業化を目指す(記者撮影)

「プロジェクト収益を下方修正します。申し訳ありません」

【写真】アストロスケールホールディングスの岡田社長(左)と松山CFO(右)

スペースデブリ(宇宙ごみ)の除去技術等の研究開発で最先端を行く、アストロスケールホールディングス。日本発の、期待の宇宙ベンチャーが東証グロース市場に上場したのは6月5日のこと。それから半年後の12月13日、アナリスト向けの決算説明会で同社の岡田光信社長はそう言って頭を下げた。

プロジェクト収益が3割超下振れ

2025年4月期の業績予想について、従来は「プロジェクト収益」を180億円としていた。今回、中間決算(2024年5月~10月)の発表に併せて、通期見通しを3割超の大幅下振れとなる120億円に見直した(前年度の通期実績は46億円、今期の中間実績は25億円)。

プロジェクト収益とは、アストロスケールの独自指標で、一般的な企業の売上高にあたるもの。同社では会計の振り分け上、事業の対価として受け取る収入のうち売上高には認識されず、その他の収益に計上される政府補助金収入がある。そこで、会計上の売上高と政府補助金収入を足したものをプロジェクト収益と称し、実質的な事業実態を示す数字と位置付けている。

12月13日には、これまで開示がなかった今期の損益予想についても初めて開示。170億円の営業赤字、185億円の最終赤字(前期実績はそれぞれ115億円と91億円の赤字)になる見通しを示した。もっとも、それ自体はネガティブサプライズではない。かねて赤字拡大の方向感は示していたからだ。

アストロスケールの主な事業は、運用が終了した衛星を降下させて大気圏で燃やすデブリ除去、燃料が枯渇してコントロールできなくなった衛星の軌道を変更・維持したり、燃料を補給したりする寿命延長、衛星の故障状態などを調べる観測・点検といったサービスだ。

ただ、今はまだ商業サービスの提供を目指して技術の開発や実証を重ねている段階にある。そのため、現状はこうしたサービスの実現を後押しする各国政府などから得る、開発や実証の進捗に応じたマイルストーン収入がプロジェクト収益の中心だ。

2025年4月期は、未受注の一部プロジェクトにおける研究開発費の先行があること、政府からの収入だけでは総コストを賄えず、一部自己負担となった別プロジェクトで32億円の受注損失引当金が発生することなどから、もともと赤字が拡大する想定が示されていた。

2つの新規プロジェクトの契約が遅延

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