「まるで韓流ドラマ」戒厳令で出た名せりふの数々 国会議長、与党代表……国家機密の軍人まで登場
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 8時30分
2024年12月14日(土)、韓国・ソウルの国会で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する2度目の弾劾訴追案の採決を前に、本会議の冒頭で小槌を打つ禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長。議長の発言などが話題になった(写真・2024 Bloomberg Finance LP)
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、2024年12月3日の夜に突如として発動した「非常戒厳」は幸いにも不発に終わった。事態は、戒厳令宣布→戒厳軍の出動→国会が解除要求決議→弾劾訴追と駆け抜け、映画さながらの展開をみせている。
この間、登場した主要人物が発した数々の言葉もまた、映画のセリフのようで印象深い。多くの犠牲の上に勝ち取った民主主義を守る戦いの中で飛び交う、力の入った呼びかけは、長く武士よりも文士が支配してきた朝鮮半島らしさを感じさせる。
人気急上昇の国会議長
これまでの混乱する韓国政局の中で、最も脚光を浴びている一人は、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長だ。
世論調査会社の韓国ギャラップは2024年12月13日、与野党代表と首相、国会議長の中で「誰が最も信頼できるか」を聞いたところ、禹議長が56%でトップだったとの調査結果を発表した。
禹議長は尹大統領が「非常戒厳」を宣告すると、公邸からすぐに国会議事堂に駆けつけた。何とか国会の中に入ろうと、塀をよじ登る67歳の禹議長の姿もネットを通じて広がった。
「非常戒厳」が出て日付が変わった12月4日未明、国会に集まった与野党議員らが、「早く採決を!」とせかす中、禹議長は「このような事態だからこそ、手続きを間違えば問題になる。(われわれは)真に非常な覚悟で体をなげうち、(戒厳令を)阻止するのです」と一喝し、議員らに落ち着きを取りもどさせた。
戒厳解除要求決議案が全員一致で可決されるや、「国民のみなさん、安心してください。国会は国民とともに民主主義を守ります。国会内に入っている軍警は直ちに国会の外に出てください。以上です」と述べ、議場は大きな拍手に包まれた。
ただ、韓国社会が最も評価するのは、尹大統領の弾劾訴追案が初めて出された12月7日夜の呼びかけだろう。
最大野党「共に民主党」などが提出した法案の採決にあたり、与党「国民の力」の所属議員らの大半は議場を去った。
与党議員の造反で法案は可決されるのではないかと注目されたが、100人以上(議員定数は300)の与党議員が投票しないと法案は不成立となる。
野党議員らが投票を済ませた後も、禹議長は与党議員らに訴え続けた。
「不当な(非常戒厳を)処理する過程で、投票に参加しないという姿を、国民が、世界が、歴史がどのように見ると思いますか? 歴史の評価が怖くないのですか?」
結果的に弾劾訴追案が可決された12月14日の採決前には、議事堂の議員らにこう語って投票を促した。
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