日産狙っていた?「ホンハイ」EV事業に漂う暗雲 iPhone工場として有名、次の軸を探すものの…
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 11時0分
IT技術に強みを持つテンセントと、製造技術に強いホンハイが手を組むことで従来にないEVを開発することを目指し、新会社のトップ選定には郭台銘氏、テンセントのCEOの馬化騰(ポニー・マー)氏も立ち会ったとされる
ただ、このプロジェクトは合弁会社設立前に鴻海、テンセントが撤退し、「BYTON(バイトン)」として再出発することになる。BYTONは2020年1月に総合商社の丸紅との資本業務提携を発表したので、聞いたことがある人もいるだろう。
鴻海は2018年、中国の新興EV企業「小鵬汽車」にも出資した。アリババ出身の起業家が立ち上げた小鵬汽車は技術力が評価され、多くの投資を集めており、郭台銘氏は自ら小鵬汽車を訪れ、激励した。
鴻海はその後もEV産業との距離を縮め、2020年以降は自らのポジショニングを「EV界のアンドロイド」と明確にした。
テスラの上海工場が2019年末に稼働し理想汽車、小鵬汽車、そして蔚来汽車(NIO)の新興EV3社の経営も軌道に乗った。EV市場が一気に活気づいたことで、中国では空前の参入ブームが起きていた。
鴻海はiPhoneの受託製造で成長した成功体験を、EVでも再現しようと考えた。iPhoneのときと違うのは工場ではなくハードウェアとソフトウェアのプラットフォーマーを志向した点だ。「下請け」から「頭脳」に飛躍するため、鴻海はテスラをiPhoneに例え、「EV界のアンドロイドになる」と公言するようになった。
2020年、2021年は大願実現に向け、怒涛の動きを見せる。欧米と中台に分けて簡単に紹介すると以下のようになる。
<欧米>
2020年1月
欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と中国でのEV製造に向けて合弁会社設立に向け交渉していると発表。
FCAが仏PSAと合併し新会社「ステランティス」を設立した影響で、交渉が長引いていたが、鴻海とステランティスは2021年5月にデジタル・コックピットなどの共同開発で合意した。両社は2023年6月、自動車用半導体の新会社をオランダに設立すると発表した。
2021年2月
高級EVを手掛ける米新興メーカー「フィスカー」と提携に合意したと発表。フィスカーは共同開発したEVを2024年に発売すると表明した。
<中台>
2020年2月
日産自動車や三菱自動車の車両の受託製造を手掛ける台湾自動車大手・裕隆汽車製造(ユーロン)との合弁会社設立を発表。
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