日産狙っていた?「ホンハイ」EV事業に漂う暗雲 iPhone工場として有名、次の軸を探すものの…
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 11時0分
2021年1月
2020年7月に資金ショートし経営が行き詰まっていた中国高級EVメーカー・バイトンとの提携を発表。鴻海が救済する形で、バイトンは頓挫したSUV車「M-Byte」の開発を再開し、2022年の量産化を目指すとした。
2021年1月
中国民営自動車最大手の浙江吉利控股集団(ジーリー)とEVの新会社を折半出資で設立すると発表。新会社はEVの完成車から部品、ITシステムまで担い、世界のEVメーカーに車両供給を狙うと青写真を描いた。
また、鴻海は2020年10月、EV向けのハードとソフトのオープンプラットフォーム「MIH」を公開した。劉揚偉董事長は記者会見で「2025~2027年にEV市場で世界シェア10%を獲得する」と述べた。
夢から醒めたEV市場
振り返っても2020年からの2年間は、IT企業が次々にEVへの参入を発表し、トップがゲームチェンジをぶち上げ、夢があふれる時期だった。
ただ、中国では、「今から参入してもEVが量産できるのは2023~2024年になる。その頃には業界がレッドオーシャンになっている」と冷めた指摘もあった。その懸念は現実になり、日産、ホンダ、三菱自など日本メーカーの苦境にもつながっていく。
2023年に入るとEV市場は変調した。アメリカではEV需要が鈍り、テスラでさえ踊り場を迎えた。新興企業が苦しくなったのは言うまでもない。
自らは設計に専念するファブレスEVメーカーを目指していたフィスカーは2024年6月、チャプター11(日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条)の適用を申請し、経営破綻した。
アメリカの新興EVメーカーを顧客と見込んでいた鴻海にとって、アメリカ市場の変調は誤算だっただろう。
鴻海がiPhoneの生産拠点を置き、サプライチェーンを構築している中国市場もこの数年で競争構図が激変している。
中国市場はBYD(比亜迪)が急激に販売台数を伸ばし、今や一人勝ちの状況だ。BYDは2020年時点で吉利の後塵を拝しており、コロナ禍で医療マスクの生産に勤しんでいた。
当時、BYDがテスラに肩を並べる世界的EVメーカーになると想像していた業界関係者はほとんどいなかった。
鴻海はハードとソフトのプラットフォームを提供して、受託製造企業になることを目指しているが、中国においてはファーウェイ(華為技術)が自動運転システムやスマート部品の供給元として存在感を高め、中国メーカーの駆け込み寺になっている。
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