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ガザで「光」を見たイラク人10年ぶりの救出劇 ユダヤ教の「ハヌカ」を期に振り返る苦難の物語

東洋経済オンライン / 2024年12月25日 8時50分

ハヌカ祭は「光の祭典」とも呼ばれる。現代も繰り返されるユダヤ人への迫害に対し、神の光を照らして邪悪な闇を駆逐してくださいと祈るのである。

ここに1つの事件を紹介したい。2024年10月初旬、ガザから1人の女性が救出された。名前はファウジア・アミン・シドさん、21歳。イラクのシンジャール地方に住んでいた女性である。なぜイラク人がパレスチナのガザで「救出」されたのか。

イスラエルの複数メディアが報じ、イギリスの日刊紙『The Sun』が当人のインタビューを踏まえ、詳細を報じた。

ファウジアさんはヤズィディ教徒だった。ヤズィディとは、イラク北部に住むクルド系の民族宗教である。彼らを“邪教”と見なすIS(イスラム国)は2014年8月、シンジャール地方を襲撃し、5000人以上の男性を虐殺し、1万人以上の女性や子どもを奴隷として連れ去った。

11歳のファウジアさんはそのときISに誘拐された1人だった。2人の弟は少年兵としての訓練を受けるため、収容所に送られた。

ファウジアさんたちはその後、イラク北西部のタル・アファルという都市に連行された。4日間、ほとんど何も口にしていない中、IS戦闘員が米と肉料理を持ってきた。食べると気分が悪くなり、全員が腹痛を訴えた。

すると戦闘員は斬首した赤ちゃんや子どもの写真を見せ、「今お前たちが食べたのは、これだ」と告げた。それを聞いた女性の1人は、心臓発作で亡くなったという。

翌2015年初頭、シリアの都市ラッカに連れて行かれた。そこでは拉致された200人と共に、劣悪な環境下で9カ月間監禁された。その間、一度も太陽の光を見ることなく、不衛生な水を飲んで飢えをしのいだ。そこで亡くなった人も多くいた。

5回の人身売買に遭いながらも…

何度も人身売買にかけられ、5回目に買った男がガザ出身のパレスチナ人でIS戦闘員だった。10歳年上だった。性奴隷として薬物を飲まされ、何度もレイプされた。ファウジアさんは息子と娘を出産した。

2018年、ISがシリアの主要部から追放された際、彼女を買ったパレスチナ人の“夫”はシリアのイドリブ刑務所に収監された。ファウジアさんは、シリア北東部の砂漠地帯にあるアルハウル難民キャンプに送られた。

その後、偽造パスポートでトルコやエジプトを経由し、2020年ガザに連行された。“夫”の家族と住むためだった。しかし彼女は家族からも暴行を受け、家に監禁された。

「私には自由がまったくありませんでした。もし自由だったら、もっと早くガザから出ていたでしょう。けれどもできなかった。私はつねに彼らの監視下にありました」

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