「続編ヒットしない」定説を破るディズニーの躍進 モアナとインサイド・ヘッド続編ヒットの背景
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
このように、前作から8〜9年を空けて、同じ年に公開されたディズニーの人気シリーズ続編2作が、ともに驚異的なグローバルヒットを記録しているのだ。
ボブ・アイガーCEO復帰後の変化
では、なぜ今年のディズニーはこのような続編ヒットを続けることができたのか。その背景を探っていくと、3つの要因が見えてくる。
まず1つが、ボブ・アイガーCEOが2022年の就任とともに掲げたクリエイティブの変革による、それまでとは異なる作品性が表れた作品群が市場に出てきていることだ。
ボブ・アイガー氏は、2005年にディズニーCEOに就任し、ピクサーや20世紀FOXの買収をはじめ、『アナと雪の女王』(2013年)や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)などの記録的ヒットを生み出すなど、現在のディズニー帝国を築き上げた立役者だ。
15年間CEOを務めたあと、2020年よりボブ・チャペック氏が後任のCEOに就いた。チャペック氏はクリエイティブ権限を集約する組織改編や、ローンチしたばかりのディズニープラスでの配信を重視した市場戦略を掲げるが、コロナ禍の試行錯誤と紆余曲折があり、業績不振が続いた。
それを受けて、2022年にCEOに復帰したボブ・アイガー氏は、オーセンティック(本物志向)なストーリーテリングを追求して最高の作品を届ける、クリエイティブファーストの組織形態への再編成を断行した。
これにより、当初はディズニープラスの配信シリーズになる予定だった『モアナと伝説の海2』は、続編での多彩なキャラクターが加わる物語のヒットポテンシャルの高さなどから、劇場公開映画へと軌道修正された経緯がある。
今年11月の2024年第4四半期(7〜9月)決算発表でボブ・アイガー氏は、『インサイド・ヘッド2』などの大ヒットによって、低迷していた業績を好転させたことのほか、この先3年の増益の見通しをアピールしていた。実際に、その直後に公開された『モアナと伝説の海2』は世界中で記録的ヒットになっている。
ディズニープラスが浸透
2つ目は、ディズニープラスの浸透によって、ファンが日常的にディズニー作品に触れるタッチポイントができたことだ。言い換えれば、ファンとディズニー作品との距離をディズニープラスが飛躍的に縮めた。
ディズニープラスは2019年11月に北米を中心にスタート(日本は2020年)。現在の世界会員数は1億5000万人を超えている(2024年第4四半期)が、ローンチからコロナ禍を含む5年を経て、気になったときにいつでもどこでもディズニー作品が見られる環境がファンの間で浸透した。
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