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日本郵便とヤマト「120億円訴訟」に至った言い分 物流サービスの「大同団結」が危うい事態に

東洋経済オンライン / 2024年12月26日 7時30分

2023年6月の協業発表時。左から順にヤマトHDの長尾裕社長、日本郵政の増田寬也社長、日本郵便の衣川和秀社長(当時)。笑顔も見られた会見だった(撮影:今井康一)

物流業界の“大義“のために、手を結んだ2社連合だったが――。

【訴状の写真】配送網の見直しにかかった費用や配達受託で得るはずだった利益の補填も含め、日本郵便はヤマト運輸に120億円の支払いを求めている

日本郵便は12月23日、ヤマト運輸に120億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。両グループは2023年6月、物流サービスにおける本格的な協業を発表。ヤマトは、郵便受けに投函するメール便や小型荷物の配達業務を日本郵便に移管してきたが、そのスケジュールをめぐり、訴訟沙汰に発展してしまった。

事の発端は10月。ヤマトが「クロネコゆうパケット」(従来の「ネコポス」)について見直しを要請したことだった。移管は2025年2月に完了する予定で、すでに東京以外の移管が進んでいた。

ところが、ヤマトは2025年1月~2026年3月の間の委託数をゼロにしたいと日本郵便に要請。「業績が悪化し赤字転落の可能性もあるため、収益を確保する必要がある」というのがヤマト側の説明だったという。

完全移管の法的義務はない?

日本郵便は協議に応じる条件として、延期によって生じる損害の補填などを提示したが、ヤマトは完全に移管する法的な義務はなく、賠償責任もいっさい負わないと主張した。

こうした経緯から、日本郵便は移管の準備に費やした50億円(かご台車などの設備、荷物の引き受けや保管用施設の賃借、人員採用など)と事業計画に織り込んでいた70億円、合計120億円の請求に至ったというわけだ。

協業を担当してきた日本郵便の五味儀裕執行役員は「社会課題の解決に向けてやりたいという部分があったので、たいへん残念な思い」としつつ「損害賠償、(移管の)法的義務についてはしっかり主張したい」と説明した。

トラブルの経緯をひもとくと、当初から合意内容やオペレーションについての認識のズレ、見通しの誤算があったようだ。

乖離はメール便の移管時から生じていた。ヤマトの「クロネコDM便」は今年1月に終了し「クロネコゆうメール」としてサービスを開始している。

業務の移管に当たり、ヤマトの荷物は日本郵便側の仕様に合わせることになり、引き受けられない荷物が増えた。日本郵便に流れた顧客は多く、メール便は移管のタイミングで激減していた(取扱数は2024年2月に前年同期比84%減)。

クロネコゆうパケットについても、移管でネコポスより配達日数が延びるため、より早く届く日本郵便の「ゆうパケット」へ顧客が流れた。両社で配達日数を短縮すべく改善策を講じたが、うまく進まなかった。

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