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ソニーFGが買収、「新興保険企業」の不都合な事実 遠藤社長がブレーン役だったjustInCaseの統治不全

東洋経済オンライン / 2024年12月26日 7時40分

中央左がjustInCaseの創業社長、中央右がソニーフィナンシャルグループの遠藤俊英社長(justInCaseのプレスリリース画像)

「こんなお友達クソディール(取引)、見逃されていいはずがない。ガバナンスが“ガバガバ”すぎるだろう」

【相関図】ジャスト社の創業社長をめぐる「トラブル」の構図

ある上場企業のトップが気炎を上げる「クソディール」とは、ソニーフィナンシャルグループ(FG)によるjustInCase(ジャストインケース、以下ジャスト社)の完全子会社化だ。12月25日に株式取得が完了した。

ジャスト社は2016年に創業した保険のスタートアップ企業だ。スマホの故障を補償する保険や、保険料が後払いできる「わりかん保険」と題したがん保険など、少額短期保険を手がけている。

一方のソニーFGはソニーグループの金融事業会社。ソニー生命保険、ソニー損害保険、ソニー銀行などを傘下に抱える。売上高に当たる経常収益は3.4兆円超、経常利益が543億円(2023年度)の国内大手金融コングロマリットだ。

2023年6月からソニーFGの社長を務める遠藤俊英氏は、言わずと知れた元金融庁長官。長官就任以前には検査局長や監督局長などを歴任したこともあり、当然だが保険や銀行の業界にも精通している。

遠藤氏とジャスト社のただならぬ関係

そのような社長の下で決まった買収がなぜ問題視されているのか。それは遠藤氏とジャスト社のただならぬ関係にある。

遠藤氏は金融庁長官を退官した翌年の2021年10月に、ジャスト社の「アドバイザリーボードメンバー」という役職に就任した。同社の当時のプレスリリースでは、遠藤氏ら3人のアドバイザリーボードを「強力なブレイン」と紹介している。

実際、ジャスト社が2022年に行政処分を受けた際にはその知見をいかんなく発揮してくれた。

ジャスト社はコロナ禍に対応する医療保険を発売していたが、保険金支払いの対象となる入院患者が想定以上に増加。保障内容の維持が難しくなったとして、既契約者を含め保障額を10分の1に引き下げた。

結果、保険引き受けのリスク管理態勢などを問われる内容で、ジャスト社は業務改善命令を受けた。この時、監督当局である関東財務局と同社の間に入り、事態の収拾に当たったのが遠藤氏だ。

ジャスト社が誕生した経緯にも遠藤氏は関わっている。同社は2019年に既存の規制の適用を例外的に免除する「サンドボックス制度」認定を受け、2020年1月からわりかん保険の提供を始めた。当時の金融庁長官は遠藤氏だった。

こうした一連の経緯を踏まえて、自らがアドバイザリーボードを務めた企業を、今度は別の金融機関の社長として買収することが、お友達人事ならぬ「お友達買収」だと批判されている。

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